2013年5月1日 

■フジガス、自国グランプリ8年ぶりの優勝!

※フジガスの勇姿をクリックすると、違うアングルの勇姿が見られます

 好転に恵まれたトライアル世界選手権開幕戦・決勝2日目、今回より新しいエンジンとなったモンテッサホンダを駆る藤波貴久(Repsol Montesa Honda)はこの日好調な滑り出しを見せ、最終ラップの最終セクションまでもつれ込んだ優勝争いを制し3年ぶりの優勝! 日本GPでは2005年以来8年ぶりの優勝を飾った。

 大会1日目に優勝を飾った昨年度のチャンピオン、トニー・ボウ選手は2日目も快調な滑り出しだったが、1ラップ目の最終セクション、水際でストップ。痛い失点5を喫し、1ラップ目を18点で終える。

 この日好調だったのはジェロニ・ファハルド選手、1ラップ目を失点1、2ラップ目失点3と合計4点のダントツトップ。初日4位の藤波選手は1ラップを4点、2ラップ目を6点と、10点で2位につけた。
3ラップ目、それまで好調だったファハルド選手が11セクションまでに大量失点。ファハルド14点、藤波15点と両者の差は1点となり、30メートルの岩場を駆け上がる最終セクションを迎えた。先にトライしたファハルド選手、最終の上りで後輪を滑らせ5点。合計19点でこの日を終えた。

 会場が大きくざわついた。なんとこの時点で正確な得点差は会場にも藤波選手にも伝えられていなかった。マインダーと慎重にコースをチェックし、大勢の観客が見守るなかマシンをスタートさせた藤波選手は急斜面を勢いよく駆け上がる。途中、足つきで1点を失点するも、藤波の集中力は途切れることなく、ゴールで待っていたのは「おめでとう!」の声だった。3年ぶりの優勝に歓喜の雄叫びをあげた藤波の目からは涙があふれた。

 ドラマチックな展開に大勢の観客はこの日一番の盛り上がりで、会場は祝福の声と拍手に包まれた。
(レポート&撮影:楠堂亜希)

藤波貴久のコメント
「よかった。本当によかったです。この勝利は、とても大きな一勝になると思います。昨日は全く不本意な結果に終わりましたが、練習のときにはノンストップルールを上手に走れていましたので、今日は自信を持って走ることを心掛けました。最終セクションでは1点をついてしまったので、トライ中に『負けた』と思ったのですが、セクションを出たところでファハルド選手に『おめでとう』と声をかけられ、優勝を知りました。新しいエンジンを作ってくれたHondaやHRCの皆さん、そしてなにより、ファンの皆さまのおかげで勝つことができました。ありがとうございます。本当にありがとうございます。長い間、本当に長い間、お待たせしました」