Kawasaki 新型 Ninja 250 試乗記

 新型Ninja250に初乗り。まず語らなければいけないのは、その姿だろう。2008年にNinja250Rが発売された時、皆が驚いた中にデザインはあった。今までの250スポーツになかった洗練された新しい姿は、“死に体”だった250カウル付スポーツモデル市場を復活させる原動力になった。新型はその時の驚きを上回る。カタチが好きとか嫌いとかは幸せの感じ方と一緒で個人によって違うけれど、現車を前にして自然に「カッコイイねぇ!」と口から出てきた。アグレッシブでありながら、当然アグリーではない。

 写真で見るより彫りが深くて、凝った面構成。それでいて外装、ホイール、ヘッドライト、マフラーなど新しいカタチながら各部ディテールの仕上げが250モデルと思えないほど良くて、安っぽいところがないのが素晴らしい。予備知識がなかったら、そこそこのバイク好きでもこれが250だとは気づかないだろう。「それほど価格を高くできないこの排気量なんだからしょうがないよね」などと思うところがほとんどない。そのこだわりは徹底的だと感じた。いやはや、カワサキに脱帽しよう。

 この登場で初代Ninja250Rを一瞬にして時代遅れにしてしまった。初代が発売されてほぼ4年間、ちょうど乗り込んで、そろそろ次のバイクが気になるタイミングで登場するところがニクイ。この姿だけで買い換えたくなる訴求力がある。

 当然、変わったのは姿だけではない。水冷DOHC4バルブ2気筒エンジンには、スリーブレスのアルミメッキシリンダーなど大きく手が入った。違いは乗ってすぐに判るもの。まずシフトの入り方が正確で確実。低中速の厚みを増した、という情報は乗る前にインプットしていた。確かに旧モデルより“もたつき感”が減少して加速の繋がりが良くなった。それも含めてとにかく全体がとてもスムーズ。極低速から伸びやかにビュンっと気持よく伸びレッドゾーンまで回り、スロットル操作に対しての反応がダイレクトながら、ギクシャクすることがない。だから数値以上に「速い」と感じさせる。エンジンの前側がラバーマウントされていることもあって全域で不快な振動もない。よく使われる言い回しだけど、これは掛け値なしに初心者からベテランまで楽しめるエンジンだ。扱いやすくて回して気持ちいい。

 その場で直接乗り比べた訳ではないから、厳密ではないけれど、足つきや、ポジションの印象は旧型とほとんど変わらない。ハンドルグリップ位置が高めのセパレートハンドルは、手前に適度に絞られていてタレ角があまりないので、腕の状態はパイプアップハンドモデルのようになる。それにしてもコックピットなど跨って目の前にある景色は立派になった。大排気量車に引けをとらない。比較的華奢なトップブリッジが軽二輪だと思い出させてくれる唯一のところ。シートは身長170cmで両足はカカトまでしっかり地面に届く。少しバック&アップ気味のステップはスポーィーな走行する時に足を踏み込みやすくて、私は好きだ。

 ハンドリングは軽快そのもので、無理なく軽くスーッと倒れて旋回姿勢に入っていけた。大排気量スーパースポーツに比べてアップライトな上半身で、少し力を抜いてツーリングのように流して走っても素直に曲がって気になるところはない。ややペースを上げてスポーティーに攻めたいならば、ヒジを曲げて前かがみになって、前輪に荷重をかけてやる方が旋回性は高まりビシっと決まる。ブレーキの効きもタイヤグリップやサスペンションとのバランスがとれていてコントロールしやすい。私が乗ったのはABSモデルではなかったので、その具合は体験できなかった。

 少し気になったのは、走行ペースを上げて走った時、まだ走行距離が少ないのでサスペンションのアタリが出てないのか、工事後に盛られた凸面があるところなど少し荒れた路面で特にフロントフォークの動きが不足しているかなという場面があったこと。これは少し経ってからもう一度試乗して確かめたい。そうは書いたものの、総じて気持よく走ることが出来たことは間違いない。

 新型Ninja250は、再びこのカテゴリーに火を付けた先駆者らしい進化と熟成を手に入れた。優れたデザイン。クラスレスな存在感。魅力が大幅アップしたと断言できる。ライバルたちは焦らないといけない。

(試乗:濱矢文夫)

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国内で発売されるのは、基本モデルといえるNinja 250(写真上右)が、エボニー(BLK)とパールスターダストホワイト(WHT)の2色のラインナップで、538,000円。ライムグリーン×エボニー(LIM)のスペシャルカラーのNinja 250 Special Edition(写真上左)が、553,000円。
さらにABSモデルのスペシャルカラー、エボニー×メタリックムーンダストグレー(BLK)とパッションレッド×パールスターダストホワイト(RED)、2色のNinja 250 ABS Special Editionが、603,000円。
発売日は、Ninja 250とNinja 250 Special Editionが2013年2月1日、Ninja 250 ABS Special Editionが2013年2月15日に設定された。
こちらでKawasaki Ninja 250の動画を見られない方は、YOUTUBEのサイト「http://youtu.be/ShN8NUZxCTc」で直接ご覧ください。 新デザインのメーターパネル。アナログ式のタコメーターをセンターに大きく配置。マルチファンクションLCDには燃料計、デュアルトリップメーター、時計、エコノミカルライディングインジケーターを表示。
その気にさせてくれるスーパースポーツイメージのコクピット。セパレードハンドルながら、やや高めの位置に設定されているため、日常の操作性も犠牲にせず。Ninja ZX-10Rと同様のカウリングとスクリーンの間にスペースを設けたフローティングウインドスクリーンを採用。フューエルタンクはZX-10RやZX-6Rと同様のスーパースポーツタイプのデザインを採用。新型Ninja 250のタンクは上面を幅広にしてエッジを効かせ、フロント側へと角度を付けたデザインとし、これにより、タンク容量17Lを確保している(ABS 仕様もユニット本体をタンク下に配置することで同容量を確保)。 幅広で高めのハンドルバーや、やや前傾のシートなど、様々なライダーにフィットするよう設計が行われている。スポーツ走行やタンデム走行、市街地からハイウェイまで、自然で理想的なライディングポジションを実現。リアシート下には小さいながらも2段式の収納スペースを設置。大型のU字ロックまで収納可能。2フックタイプのヘルメットホルダーもリアシート下に装備。
リアタイヤのワイド化に合わせ、リアホイールのリムサイズは17×MT4.00(旧モデルは17×MT3.50)に設定(フロントは旧モデルと同様、17×MT2.75)。エンジンパフォーマンスの向上に伴い、140幅(旧モデルは130幅)となったリアタイヤは、スーパースポーツのイメージを高めるとともに、直進安定性の向上にも貢献(フロントのタイヤサイズは旧モデルと同様)。扁平バイアスタイヤはIRC社との共同開発、パターンは旧モデルと同様だが、新コンパウンドを採用することによりウェット路面でのパフォーマンスを向上している。 フレームは、鋼管ダイヤモンドフレームで、強度と耐久性を向上。左右のメインチューブ素材には新たに高張力鋼を採用。ガセットを追加することでフレームの縦方向の剛性をアップ。剛性バランスを最適化するため、メインチューブはフューエルタンク下部で広がる形状としている。エンジン前側(シリンダーヘッド前側)をラバーマウントとすることで、エンジンからの振動を大幅に低減。快適性と上質なライディングフィールに貢献している。シートレールは、より水平に近い角度で配置することにより、リアタイヤサイズの拡大に伴うシート高のアップ分を相殺している。
<主要諸元>
●エンジン:水冷4ストローク直列2気筒DOHC4バルブ●ボア×ストローク:62.0×41.2mm●総排気量:248cm3●圧縮比:11.3●最高出力:23kW(31PS)/11,000rpm●最大トルク:21.0N・m(2.1kg-m)/8,500rpm●オイル容量:2.4リットル●燃料タンク容量:17リットル●燃料供給装置:KEIHINφ28mmフューエルインジェクション●変速機:常時噛合式6段リターン●フレーム:ダイヤモンドタイプ
●全長×全幅×全高:2,020×715×1,110mm●軸距離:1,410mm●シート高:785mm●最低地上高:140mm●重量:172《174》kg●サスペンション:前φ37mmテレスコピック、後ボトムリンク ユニ・トラック式スイングアーム●ブレーキ:前φ290mmシングルディスク、後φ220mmシングルディスク●タイヤ:前110/70-17M/C 54S、後140/70-17M/C 66S
※《》内はNinja 250 ABS Special Edition


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