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やはり、8時間をきっちり走り切ったチームの優勝でした。
TSR秋吉・レイ・岡田組が序盤から着実に上位を走行、ノートラブ ルで215ラップを走り切り、チェッカー。
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着実に優勝をものにしたTSR。秋吉耕佑は今シーズンの開幕戦で大腿骨を骨折し手術。この8耐が今年初のレースだった。
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4ラップ差で2位に入ったのは、山口辰也選手が自ら作り上げたプライベートチームTOHOレーシング。市販マシンでライダーは高橋裕紀選手、手島雄介選手を起用した。
話題のチームはいくつもありましたが、8時間は長いようで短く、一つのトラブル、小さなミスが結果を大きく左右する過酷なレース。バイクを押して帰ってくるのが8耐の感動のシーンのように映されますが、有力視されたチームの優勝から遠ざかってしまったあとの疲労困憊の走りが切なかった今年の8耐でした。
昨年につづき、海外ヤマハチームYARTからの参戦で、今年は芳賀紀行選手を加えた最強布陣で参戦。予選から好タイムをたたき出し、土曜日に行われた トップ10トライアルで見事ポールポジションを獲得した中須賀選手でしたが、トップ走行中に130Rで激しく転倒。炎天下のなか、脱水を起こしながらもバイクを押して帰ってきました。
修復後、再スタートした芳賀の走行が予想以上にハイペースだったため、チームはマシンとライダーの安全を考えてやむなくリタイヤを申請しました。
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序盤のバトル、中須賀選手の勢いはスプリントレースそのものでした。
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帰ってきた芳賀紀行!国内では芳賀の走りを見ることはほとんどないのだけど、アグレッシブな走りのファン多し!
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マシンの状態を的確に伝える芳賀、短い時間のセッティングにはライダーの経験がものをいう。チームのサポートには吉川和多留さ ん、ヤマハのライダーがもっとも信頼を寄せている先輩。
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その後トップ走行のハルクプロでしたが、ライダー交代直後のアウトラップで清成選手がまさかの・・・・炎上。満タンのガソリンが全部燃えて、火のカーテンになり、あたりは騒然となりましたが、幸いガソリンがコースを横切ることなく、オフィシャルの素早い処理対応でペースカーが入りました。その後清成選手はデグナーからマシンを押して帰還。消火剤も大量にかけられ、ほぼ全焼のバイクを直して再スタートしたのは高橋巧選手。実はこのとき「まさか清成がアウトラップで転倒するわけない。何かあったんじゃないか? キャップが開いてたんじゃないか?」とみな口にしていたのですが、翌週のアジア選手権で、鼻と口にやけどを負った清成選手に聞いたところ「ちょっと、頑張りすぎたみたいです」と本人の弁。ちなみにお疲れのアジア選手権では1ヒート2位、2ヒートではコースアウトして13位でした。
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国内選手権にも出てきてほしい、速くてイケメンな希少ライダー。清成選手はパッときてパッとのって速い。ただ、今回の転倒は びっくりでしたけど。
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清成選手が押してきたバイク、これだけよく燃えたのも久々にみましたが、これを修理したハルクプロのメカさんたちにも拍手です。
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上位チームに起きたアクシデントはこれだけに終わらず、加賀山就臣選手が加わったスズキフランスのエンデュランスチームSERTは4スティントをこなした加賀山選手からバイクを受け取ったエースライダーのヴァンサン・フィリップ選手が転倒、2位表彰台を目前に逃してしまいました。
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ウォールからのショットは友人のフランス人カメラマンからもらったもの。これを見るとマシンを抑えるメカさんも必至。ハルク のメカ、勢いで転倒。
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コワイと話題になった加賀山就臣のヘルメット、不死身のターミネーター仕様は青バージョンと黒バージョンがある。
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SERTはかつて北川圭一をチャンピオンに導いたフランスの名門耐久チーム。監督の采配が素晴らしく、ドS作戦は時にライ ダーに3時間の連続走行も辞さない。加賀山もすっかりチームに溶け込んでドSの洗礼を受けている。
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加賀山選手と中須賀選手はともに、8耐の翌々週に行われるドイツの世界耐久に参戦です。
話は8耐にもどりますが、今年の最後の見せ場といえば、エヴァンゲ リオンレーシングの夜のバトル。上位が次々に脱落していくなか、着々と前との差を詰めていた初号機、出口選手が最後のバトンを受け取りヤマハの海外チームを追い廻し、夕闇のなか2台のライトがバトルを展開。出口選手がヤマハGMT94をラップし、8時間まで残すところ3分を切ったところでした、突如エヴァンゲリオンのエンジンが止まる悲劇。芹沢太麻樹選手が走行のときからエンジンから異音がしていたそうですが、あと3分持たなかった……
もう「活動限界」とかうるさいちゅうねん!
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最終スティント、グランドスタンドではトリックスターの応援団以外の人たちもみんな大歓声をあげていました。マシンを止めるまでの出口修選手の頑張りはみんな忘れないと思います。
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なんだか思い起こせば、トラブルばかりになってしまって後味が悪い8耐になってしまいました。
結果は結果なので しょうがないですが、8耐は結果だけでなく、途中経過でぞんぶんに楽しむことができるレースです。
8耐でしか組むこ とのない選手たちを見るのは楽しい。いつもと違うツナギは新鮮だし、普段はオレ様なライダーが組んでお互い気を使ってるとか、同じバイクなだけにタイムで負けられないとか、お互いの腕をわかっているからこそ譲るとこは譲り、主張するところはっきりいう人間模様。全日本には出場していない選手に久しぶりに会えるのも8耐ならでは。やはり8耐は特別なんだなと思います。
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チームアジアで参戦の亀谷長純と玉田誠。ともにアジアドリームカップの先生でもあります。
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KTMが8耐にエントリーするのは今年が初なのです!ライダーは4耐優勝者の藤島翔太と宮嶋佳毅、そしてオーナーはかつてガチンコ レーシングで一躍有名になった浜口善博(第3ライダー)。
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8耐がこんなに盛り上がるんだったら、年に何度かやればいいじゃない? と準備側の苦労も知らずに思ってしまいますが、耐久がシリーズ化されたらそれはそれで面白いだろうな? と、刻々と暮れる鈴鹿の空を見て思ったりしました。
その夢がかなうまでは、また、来年の夏に鈴鹿で。
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やっと訪れた瞬間。耐えた秋吉の顔に笑みがこぼれる。
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