ヤマハ発動機
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 FZ-1の弟分と言えるFZ-8。排気量はナナハンよりちょっと大きい779cc。

 少し前のR1をベースにしたエンジンを、R1をベースにしたFZ-1譲りのアルミフレームに積む。両車の成り立ちは似ているからただの排気量違いだと思ったら大間違い。性格は異なる。ちなみにR1ベースエンジンながらFZ-8は5バルブではなく4バルブ。

 エンジンはパワフルだけど、力の出方がフラットで派手な演出がなく、どのギアで、どの回転域からでもスロットルを開けるだけでグンと加速できる。いつでもリアタイヤへ伝わる駆動の制御がしやすく、それでいてちゃんと速い。尖ったところがありスーパースポーツの血筋を感じるFZ-1とは違う。

 その印象はハンドリングにも当てはまる。とても軽快で鋭い旋回性を持ちながら、高いペースで走らなくても足周りはしっかり動いてギャップをいなし路面にピタっと吸い付くよう。クセもなく思ったように走れる。ポジションもゆとりがあって体の自由度が大きい。クローズドコースで飛ばすとステップはいとも簡単に路面とコンタクトするけれど、ツーリングも含めるとこのくらいが好みだ。

 巷で呼ばれるハイパーネイキッドより、全体的に肉食感がないフレンドリーな乗り味(遅いという訳ではない。カタログ値の最高出力とトルクは国内仕様のFZ-1より少し高い)。速さ、軽快さ、乗りやすさのバランスがとれている。FZ-8には久しぶりに乗ったけれど、今回も走りに関してはかなり理想的なストリートネイキッドなのではないかと思った。

779ccという新開発エンジンを搭載する新基準ネイキッド。 こちらで動画を見られない方は、YOUTUBEのサイト「http://youtu.be/i2cHZLMX7Zs」で直接ご覧ください。
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 ロー&ロングのスタイルは伸びやかでボリュームがありながら、横から見ると細身。キャストホイールや一本出しマフラーでスポーティー。鞍型のシートに跨ると、身長170cmで足着きはべったりで、難なく車体を支えられる。ハンドルバーは外側に大きくカーブして手前まで持ってこられているので、手を前に開いてハンドルグリップを握っても肘に充分なゆとり。

 このモデルは空冷60度Vツインエンジンにバランサーが入っていないのがミソ。鼓動でテイストを表現しようというもの。そのねらい通りエンジンを始動し走りだすといい具合に揺れがある。けれどそれは想像したより大きくなく不快にならないものだった。特にスロットルを大きく開けた時、足やお尻などが接したところからは鼓動を感じるが、ハンドルバーへの振動は適度に抑えられているから手が疲れない。

 蹴飛ばすような低速トルクではなく、低速からフラットに力が出てスムーズ。サスペンションの動きも良くて、良好な心地。大きくないが確実なパルス感でスルスルスルっと前に進む。人を驚かすようなワイルドさは控え目で、ジェントルだと思った。

走行中の動きは軽い。寝ているキャスターでコーナー入り口ではフロントがはっきりと切れていくけれど、その動きは大きすぎず穏やかだから気を使わない。フットボードは少し傾けただけでガリガリと路面に当たるので、コーナーではゆったり。クローズドコースだから妙な強迫観念を持ってしまって真っ直ぐになったらスロットルを大きく開けて加速、コーナー手前で効きの良いディスクブレーキで減速してまたゆったり。そうやって走っていると、疲れてしまって「もう全部ゆったりでいいや」と思いクルージングモード。これがいい、これでいいのだ。クルーザーだもんね。周りを見渡しながらせかせか急がず流して乗ると水の流れに身を委ねているように心が落ち着いた。

 これで価格は100万円ちょっと。XVS950Aは、スタイル、大きさ、走り、価格、全てに気負うことないちょうど良さが魅力のクルーザーだ。

入門者や女性にも優しい“ミドルクラス・クルーザー”。 こちらで動画を見られない方は、YOUTUBEのサイト「http://youtu.be/A_CbqwY2W5Q」で直接ご覧ください。
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 車体に近づくと、ものすごく高く大きく見えて、圧倒されそうになる。しかし、跨ってみるとそんなに大きさを感じさせない。170cmとそれほど身長が高くない私でも安心できる足着きとポジション。感覚的には同じカテゴリーのBMW R1200GSに比べひとまわり小さい。

 並列2気筒1199ccのエンジンは、神経質なところがまったくなく、開けたら開けた分だけパワーが出る。スロットルオンオフで力が出過ぎたり足りなかったりというようなところがなくギクシャクしないので、爽快で疲れない。

 このスーパーテネレのとっても気に入っているところは舗装されたワインディングでの走り。エンジン特性が選べる「YAMAHA D-MODE」で、レスポンスがよくパワフルなSモードに入れて、なかなかのペースで積極的に走れてしまう。マルチパーパスとかデュアルパーパスと呼ばれる大排気量車の中では指折りの軽快感。切り返しなどネイキッドスポーツ的にやれる。

 今回は、低中速がメインのコースでの試乗だけど、以前、高速で長距離走行をしたこともある。クッションが良いシートに楽なポジション、高いスタビリティで高速での長距離も快適だった。ABSにトラクションコントロールも装備されていて、状況によってエンジン特性といつも的確なリアタイヤのトラクションが得られるので、幅広い条件の路面に対応出来るのも嬉しい。

 見た目から“乗れない”と判断してはいけない。跨って走りだしてしまえば、そのコントロールしやすさに驚くだろう。怖がる必要はない。全体に備わる優しさはいろんなところで味方になってくれる。

リッターオーバークラスの伝統“オン・オフ”。 こちらで動画を見られない方は、YOUTUBEのサイト「http://youtu.be/C7bzGre4fDg」で直接ご覧ください。
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 いつ見てもこのバイクはエンジンとマフラーの造形が美しいと思う。キーを捻ってメインスイッチをオンにして、キックペダルを軽く何度か踏み、レバーが重く下りなくなったところからデコンプレバーを握ってシリンダー内の圧を抜く。ほんの少し踏み、キックペダルからいったん足を離してペダルを高い位置に。そこから一気に蹴飛ばすとエンジンはコロコロコロと一発で始動。一般的には何も考えずにセルスイッチを押すだけの動作が、SRでは始動の儀式になる。これがたまらない。何も難しくはないけれど、一見さんだったら簡単ではない。もういい歳なんだけど、こうやってエンジンに火を入れると一人前の大人になった感がある。

 フューエルインジェクションになったことで、らしさが無くなった、エンジンの魅力が無くなったのではないか、と言う声を耳にしたことがあるけれど、そんなことはない。タッタッッタッタッとよく分かる単気筒の爆発と振動を感じながら、たおやかに車体を寝かせて曲がっていく。数字には現れない走る楽しさは変わらない。

 若い頃から今まで数えきれないほど乗ったことがあるバイクだ。300km/hを軽く出せるバイクや200馬力のバイクを知っている今も乗るたびに「ああ、これでいいなぁ」と思える世界があるから不思議だ。

35年経ってもニューモデル、最新SRに乗る。 こちらで動画を見られない方は、YOUTUBEのサイト「http://youtu.be/sh12wknFwXs」で直接ご覧ください。
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 現在、購入できるTMAXには2種類あって、国内仕様として出ている499ccのモデルと、それを土台にしながら大きなモデルチェンジをしたこのTMAX530。発売は2012年モデルからとなり、プレストコーポレーションより逆輸入車としての扱い。

 2月にあったTMAX530の試乗会は、“バケツをひっくり返したような”という慣用句がぴったりの大雨だった。そこで思いっきり走ることができなかったから、今回乗るのを楽しみにしていた。スクーターと高いスポーツ性が融合したTMAXが個人的に好きなこともある。

 詳しい変化はこちらの記事「530ccになった新型TMAX」を読んで欲しい。

 発進してすぐに判るのは排気量だけでなく各部を見直した並列2気筒エンジンの力強さ。停止状態からの飛び出しが、前より鋭い。スロットルを開け続ければ、CVTならではの切れ目なく体に伝わるショックもないスムーズな加速。CVTの魅力は走りのイージーさだけでなくとても快適だ。

 前のモデルから受け継いだアルミフレームを基本にしたボディは、足周りを中心に軽量化されたこともあって、フットワークが軽い。TMAXの伝統でもある、スクーターらしからぬ深いバンクが見方となってくれるので、攻めた走りをしてみてもシャシーと足周りがへこたれる感じはまったくない。弱々しいところがなく、カチっとしながら、サスペンションが動いてしなやかに路面を捉える。さらにペースを上げて寝かしていってどこかが路面に当たりそうなところでもヒヤヒヤしない安定感と操縦性はなかなか。

 走りの楽しさを含む全体のレベルがもう1段階上がったと思えた。個人的に、ビッグスクーターで買うならどれ? という質問に常々「TMAX」と答えてきたけれど、その答えは継続しそうだ。

530ccエンジンを搭載する海外向けの新型TMAX。 こちらで動画を見られない方は、YOUTUBEのサイト「http://youtu.be/8lQ8bcGVcTc」で直接ご覧ください。
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 最初に写真で見た時は、外装のまとめ上げにやや強引さを感じてしまったが、実物を見たら、そんな思いは消し飛んだ。かなりの好印象。素直に「いいね」と言葉が出た。オンだけでなくオフロードでも遊べるモデルは、どうしてもデザインが機能に引っ張られている感じがする。その中でもこれの中身であるトリッカーは、シンプルながら遊び心があって優れたデザインだが、そこにもうちょっと遊び心が加わった。

 今までネイキッドモデルを中心にレトロな味を楽しむバイクはあったけれど、このジャンルはなかった。70年代は普通だった丸いカタチの燃料タンク(これはタンクカバーだが)は今となっては新鮮。街でよく似合いそうだ。もちろん、足着きが良く、軽くてヒラヒラ自由に動ける走りはトリッカーそのままだ。
(試乗:濱矢文夫)

スタイルはTYイメージになりましたが、中身はtricker、走りは…。 こちらで動画を見られない方は、YOUTUBEのサイト「http://youtu.be/CgppiQ1bNQI」で直接ご覧ください。


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