カワサキは海外のジャーナリストに向けた「Heritage Press Introduction」を信州・長野にて開催した。これはWシリーズの歴史と伝統を紹介しつつ、最新の「W800 ストリート」「W800 カフェ」の試乗会をメインにしたもの。ビーナスライン、奈良井宿、松本城を巡る日本の文化を感じさせるコース設定のなか、お手伝いで参加した筆者も「W」をすっかり堪能できた。
■文:青木タカオ
■撮影:真弓悟史、安井宏充 ■協力:カワサキモータースジャパンhttps://www.kawasaki-motors.com/、川崎重工業 https://www.khi.co.jp/
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Kawasaki W800 STREET / CAFÉ 試乗 こちらで動画が見られない方は、YOUTUBEのサイトで直接ご覧ください。 |
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W800 STREET
Wらしさを感じる乗り味が オールドファンも唸らせる!! |
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Wシリーズの最新型はアップハンドルの「W800ストリート」、ビキニカウル+ローハンドルの「W800カフェ」という2本立てになっている。まず、スタンダード的な位置づけとなっているストリートから見ていこう。 |
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しかし、跨ると昔ながらのWを感じさせてくれ、自然とリラックスできる。というのも筆者は25年間、W1SA(1971年製)に乗るダブワンオーナー。「W800カフェ」のような新感覚も嬉しいが、オーソドックスなモデルも残して欲しいという想いを正直なところ断ち切れない。とにもかくにもWとなれば目が離せず、あれこれと黙ってはいられないのである。 |
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その落ち着きは前後18インチ化だけによるものではなく、フレームが刷新されて剛性が増し、フロントフォークもφ39→41mmに変更されたことが影響している。 |
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W800 CAFE
新型で向上した運動性能を いかんなく発揮できる!! |
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W800は新型でキャスター角も27度から26度に起こし、トレール量を108→94mmに変更。旋回性を高めるとともにブレーキもグレードアップ。フロントのローター径を300mmから320mmに拡大し、リアはドラム式をついにやめて270mmディスクを装備している。そしてアシスト&スリッパークラッチも搭載した。 |
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昔ながらのフィーリングを残し、従来路線で進化したのが「W800ストリート」だが、こちらは新しい楽しさを提案しているのだ。M字型のスワローハンドル、シングルカウル風のシートでアグレシッブな前傾ポジションとし、見た目だけでなく走りもお尻をイン側にズラして積極的に荷重移動するようなスポーツライディングに対応している。 |
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両車の仕上げも細部で差別化を図っている。カフェではメーターパネルにレーシーなホワイトをあしらい、ベベルギアカバーにはシルバーをあしらってブラックエンジンのなかでアクセントとしている。ホイールリムのアルマイト加工もストリートではシルバーだが、カフェでは黒。そしてグリップヒーターを備えて、上級仕様であることをアピールしているのだ。 |
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上質なクラシックフォルムはそのままに全身をブラックアウトし、ネオレトロなトレンドを取り入れた両車のスタイル。W800 ストリート(写真左)はアップハンドルやタックロールシートで、昔ながらの姿。W800 カフェ(写真右)はクラシカルなプロポーションをそのままに、ビキニカウルや低く構えるローハンドル、シングルシートカウルの形状を模した専用シートでスポーティさを強調した。 | ||
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Kawasaki W800 STREET / CAFÉ 解説 こちらで動画が見られない方は、YOUTUBEのサイトで直接ご覧ください。 |
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2つのピストンが交互ではなく同時に上下する360度クランクのバーチカルツインは、Wシリーズの伝統。メグロから受け継いだOHV2バルブは、1974年に生産終了した650RS W3とともに姿を消したが、1999年のW650でベベルギヤ駆動のSOHC4バルブで復活。「美しいエンジンの創出」をテーマに、新開発したものであった。72mm×83mmのロングストローク設計で、2011年にボアを77mmにして773cc化。今回の新型もボア・ストロークや排気量といった数値は同じだが、各部を最適化しセッティングも変更。2500rpmで発生していた最大トルク62Nm(6.3kg-m)を4800rpmに引き上げるなどした。 | ||
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大径φ170mmのヘッドライトはLED化され、明るい白色光が被視認性を向上。6室のLEDライトは4室がロー、2室がハイビームに割り当てられている。また、ハイビーム部にあるポジション灯は電球式のようにランプ全体が点灯し、クラシックムードを意識。カフェはビキニカウルを装着し、スポーティなムードを漂わせた。 | ||
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ストリートでは上半身が起きた乗車姿勢となるハンドルバーを装着。その形状はW650アップハンドル仕様を踏襲している。カフェではクラブマンスタイルのローハンドルが与えられ、スポーツマインド高まる前傾のライディングポジションに。グリップ位置が低くなるだけでなく、フロント荷重が増え、ライドフィールにも影響する。 | ||
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スイッチボックスの形状やデザインもクラシカルなものにこだわった。ハンドル左には、手動リターン式のハザードスイッチを装備。レバーはダイヤル調整機構付きで、ブレーキは4段階、クラッチは5段階に調整可能。カフェ(写真下)ではグリップヒーターを備え、価格差を見ても上級グレードという位置づけであることがわかる。 | ||
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シンプルで美しい指針式のメーターは、右にエンジン回転計、左に速度計を配備した昔ながらの独立式。スピードメーター内に液晶パネルが埋め込まれ、オド、トリップ、時計を切り換え表示する。カフェでは中央をホワイトにした文字盤が、スポーツモデルであることを強調した。 | ||
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魅力的な曲線を描くラウンド形状のフューエルタンクは、容量を14→15Lに拡大。存在感をより高め、力強い印象を見る者に与えている。グラフィックは両モデルで異なり、カフェではスポーツマインドを高めるニーグリップラバーが標準装備された。車体色はそれぞれ1色ずつの設定。 | ||
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ストリートはタックロール入りのオーソドックスなデザイン。カフェはシングルシート風デザインだがタンデムもできる。シートはキーで取り外しでき、シート下にはETC2.0車載器を標準装備。シート高はそれぞれで異なり、ストリートは770mm、カフェは790mmとなっている。 | ||
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リアサスペンションはオーソドックスなツインショック。剛性の上がったシャシーに合わせて、硬めのセッティングに見直された。アッパーマウント部にはグラブバーや荷かけフックがあり、使い勝手がいい。ヘルメットホルダーも備わって、出掛けた先で重宝するのは言うまでもない。 | ||
■KAWASAKI W800 STREET〈CAFE〉主要諸元 |
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