2019年1月28日
■3月1日10時より、新東名の最高速度が120km/hに
静岡県警は1月28日午後、高速道路の本線一部区間で最高速度を120km/hとする試行を発表した。半世紀以上続いた高速道路100km/hをさらに一歩踏み出す形だ。
実施区間は新東名(新静岡IC~森掛川IC)の上下線約50キロ。同区間は2017年11月から110km/hの試行が続いている。同じ区間で3月1日朝10時から最高速度を120km/hに引き上げる。対象となる車両は、総重量8トン未満・最大積載量5トン未満の中型トラック、バス、乗用車、軽自動車、排気量126cc以上の二輪車など。
高速道路の最高速度は2016年3月に警察庁主催の有識者委員会で「高規格の高速道路における速度規制の見直しに関する提言」がまとめられた。そこで高速道路の構造適合速度が120km/hで、事故が少ない区間については、規制速度の引き上げが可能であるという方向性が打ち出されている。また、段階的な速度引き上げによる試行で、速度引き上げの実現を行うべきとし、2017年11月から最高速度110km/hの緩和が、新東名と岩手県内の東北道の2区間で実施されている。両試行区間では、それぞれ試行1年の結果を分析し、運用に問題がないことを検証しながら、110km/hから120km/hへの移行が見込まれていた。
120km/hへの引き上げについて静岡県警交通規制課は、次のような判断を示している。
「現在110km/hの試行を行っている区間は、設計速度が120km/hであり、試行区間の約60%が3車線化し、速度差のある車両の交錯が少ないことなど、一定の安全レベルが確保できているため、120km/hへの試行は可能」
そのほか試行1か月後と6か月後の2回にわたって、約1000人の試行区間利用者にアンケートを取り、その約63%で120km/h引上げに、賛意を得たことも、引き上げ試行を後押しする結果となった。ただ、新東名の120km/h引上げは、提言ではより長い区間を対処とした見直しが示されていたが、110km/h試行区間を延長して120km/h試行を行うことにはならなかった。
110km/hの引き上げでは、高速道路警察隊に交通機動隊のパトカーを動員。さらに航空隊が空から走行車線や車間距離の監視を行い、取締りを強化した。120km/h引上げでも、静岡県警は同様の取締り強化を行う予定。
「120km/hに最高速度を上げたから、取締りも緩和されるわけではない。また、120km/hで走らなければならないというものでもない。自分の車両とコンディションに応じた安全運転を心掛けてほしい」(高速道路交通警察隊)と、注意を促している。
(取材・文:中島みなみ)