農機具、しかもホンダF90耕うん機のような特徴的なモデルのプラモデルとあれば、ホンダファンならずとも機械ファンなら興味あるはず。なぜ今までなかったのだろう……こんな新ジャンルを切り開いた「マックスファクトリー」と「ホンダ」。このプラモデルが出たことで社内外から集めた視線は多く、そして熱い。
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一度は作ったでしょうプラモデル
男の子なら、例えその後に興味が続かなかったとしても、子供の頃に一度くらいはプラモデルに接し、作ってみたことはあるだろう。ましてやバイク好きならば憧れのGPマシンや自分が乗っていたバイク、もしくはライバルとなるような四輪車のプラモデルなど、何かしらの接点があったのではないかと思う。実際バイクのプラモデルは星の数ほどあり、中でも絶版系名車のプラモデルは本誌読者も楽しんだり、もしくは実際に作ることをせずにコレクションしたりする人も多い。 |
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F90の「らしさ」を見事に再現しているプラモデル。トラクターなど大型農機具の模型やプラモデルは海外ではメジャーなジャンルとして定着しているが、耕うん機のプラモデルは、おそらく1963年にホンダF190(写真下右)が主に販促用として製作されて以来と思われる。 |
「何か新しい事を」 とホンダにアプローチ
異色の耕うん機プラモデル、しかも美少女とのコラボレーションが実現したのは、マックスファクトリーという会社によるアプローチだった。マックスファクトリーはもともとプラモデルではなく美少女フィギュアをメインで扱ってきた会社。補足しておくと、フィギュアは購入した時点で完成しており、組み立てたりする必要はない。それを他のフィギュアと共にディスプレイしたりして楽しむものだ。
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マックスファクトリーではこのフィギュアをもう一歩進めた「Figma」というシリーズを展開。1/20スケールで、これまでのフィギュアと違って関節部などが可動することでポーズをつけたりすることができるシリーズだ。これにより同じスケールのものと組み合わせて、様々なポーズをつけて様々なシチュエーションを作りだすことができ、遊び方の幅を広げた。是非マックスファクトリーのホームページ(http://www.maxfactory.jp/f)も確認してほしいのだが、いわゆる美少女系だけでなく、美術品をベースにパロディチックに展開する「テーブル美術館」シリーズや、中には北海道土産で有名なシャケをくわえた熊などオリジナリティあふれる商品もあり、そのリアルさ、かわいさに魅了されてしまう。 |
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1/20スケールの minimum factory。美少女フィギアを自分で組み立てるプラモのシリーズだ。 | ||
そんなマックスファクトリーがプラモデル好きな社長の意向でプラモデルを始めたのは2013年と最近の話。当初ロボット・戦車等、そして得意とする美少女を展開したが、「何か違うことをしたい」という気持ちが強かったという。もちろん、得意とする美少女と組み合わせたいのだが、同社のminimum factory シリーズは1/12よりも小さい1/20のため、バイクでは小さすぎてデフォルメされる部分が多くなってしまう…… 逆にクルマは大きすぎで美少女が脇役になってしまう……。では農機具はどうかとトラクターも検討したが、海外ではトラクターファンも多くそういった商品はすでに存在する。
奇跡のタイミングでトントン拍子に実現
ホンダの耕うん機と言えば「汎用」として親しまれ、去年「パワープロダクツ」と改め統一化された、我々からしてみればなじみのブランドが送り出す製品。この連載でも様々な角度から紹介してきたがまさか耕うん機プラモデルの紹介になるとは!? |
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「ホンダパワープロダクツとしては、実はこういった模型で何か展開できないかな、と模索していたんですよ」と語ってくれたのはホンダパワープロダクツ事業本部の竹山栄美さん。 |
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高久裕輝さん サブカルチャーの聖地、東京は秋葉原に本社を構えるマックスファクトリーで新製品の企画、広報などを担当する、F90プラモデル化の仕掛人高久さん。社長に乞われて転職する前はプラモデル専門誌の編集者という筋金入りのプラモデルのプロフェッショナル。 |
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「マックスファクトリー内で耕うん機で行こう! と決まったけれども、じゃあどうすればいいのかわからないわけです。いきなりホンダに電話して、『プラモ作らせてください』って言ってもダメでしょう (笑)。しかし社内で以前ホンダと関わりのあった人がいることが分かり、直にパワープロダクツの広報グループに繋いでもらえることに。ふたを開けてみればホンダサイドもちょうどそんな展開をしたいと考えていたという事で『キミは飛んで火にいる夏の虫だよ!』と歓迎されたんです(笑)。人の繋がりのおかげでそこからも話はスムーズに進みました」
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みのりちゃんはオーバーオール仕様かスポーツブラ仕様の選択が可能。麦わら帽子、やかん、麦茶のボトルといった気の利いたアイテムも付属。 |
[第4回 「アプリケーションエンジニアリング」の最先端 ホンダ船外機の今|第5回|第6回 ホンダパワープロダクツ社長 齋藤雅人さん]