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募集から2日で定員が埋まってしまったという、密かに人気沸騰のエンデューロレース『WeRide三宅島エンデューロレース』が今年も晴天の下で開催された! 三宅島が主催し、東京都の支援で行われる珍しいレース。平成12年の火山の大規模噴火により、三宅島の復興支援の一環として開催され、エンデューロレースのビッグイベントとして根付いて今年で9年目となった。
三宅島は周囲38km、直径は8kmほどの、ほぼ円形の島。海沿いの外周道路のほか一段上がったところに内周道路がありますが、噴火の影響により大半は路面が傷んで現在も修復中。 そもそも2006年石原都知事の時代に、外周道路を使用して「マン島」のようなレースをやろうと話が持ち上がったのですが、待避スペースや安全確保の問題からロードレースは見送られ、2007年初開催はバイクパレードが行われましたが、その後の紆余曲折を経て、溶岩地帯を使用したエンデューロレースだけが残る形になりました。
今年は、エンデューロ業界のトップライダーたちのほか、モトクロスからIA1クラスの馬場大貴選手が参戦。応援に駆けつけてくれた小池百合子都知事のスタートフラッグで150分のレースが始まりました。 勢いよく飛び出した#75馬場選手に、#50斎藤祐太朗、#100真田治、#119小池田猛、#16山西利康、#125山田崇弘の各選手と続きますが、1周目を終えるとトップの馬場選手と小池田選手が3位以下を大きく引き離しての2人旅。初参戦の馬場選手に対して、石のあたらない絶妙な距離を保って追従するエンデューロマイスターの小池田選手。小池田選手は2005年全日本モトクロスIA1クラスチャンピオンであり、アメリカのエンデューロに参戦経験も。その後方ではトップを追いかける斎藤選手とそれに迫る真田選手の3位争い。
三宅島の火山地帯独特の地形を生かしたコースは、スコリアとよばれるゴロゴロの溶岩原を真ん中にして、元村営牧場のウッズセクション、そしてこのエンデューロの名物でもある七島展望台に向かう真っ黒な火山灰の丘を全開で駆け上がるご褒美ヒルクライムでは、眼下に広がる太平洋をしばし眺めることができます。
今回はウッズセクションが肝になり、クネクネの1本ラインに周回遅れが挟まると前との差を広げてしまいます。このため、先行する馬場選手は常に前に居続けなければならず、対する小池田選手は膝の負傷もあり飛ばすこともないのですが、周遅れを巧みに交わして絶妙な距離を保っての持久戦となりました。 レースも2時間が過ぎ、残り30分を切ったところ、なんとそれまでずっとトップを走行していた馬場選手が痛恨のミス。前を走るライダーが轍につかまってしまい、真後ろにいた馬場選手もストップしてしまったのです。そこをすかさず小池田選手がパスすると一気にスパートし、残り30分を走り切り1位チェッカー! 自身5度目の三宅島優勝。馬場選手は初出場で2位を獲得、同一周回はこの2人で、3位に斎藤選手、4位に真田選手、5位には山西選手。チャレンジクラスはスタートからトップの長尾選手が優勝!
トップ争いこそ激しいものですが、このレースの特徴といえば“雄大な景色を楽しみながらのエンジョイライド”で、150分のレースの途中で休憩をはさみながら、それぞれの技量で走行を楽しむ参加者も多いです。会場では地元婦人会の奥様達お手製のイセエビの味噌汁やコーヒーがふるまわれたり、地元島民の応援に手を振ってこたえたりと会場で思い思いに楽しんだようです。
離島レースの特徴としては、レースまでの行程にもあります。参加者はレース前日に辰巳ふ頭でバイクをコンテナに預け、身体は別の高速船で移動。早朝に三宅島に上陸し、民宿にて各自休憩をとったあとコンテナの開梱場所へ。平らな土地が少ないため、レース会場とコンテナ置き場は離れた場所にあり、バイクを受け取ると白バイ先導で一般道をコンボイ走行してレース会場に向かいます。ナンバーのないレーサーバイクで絶景の一般道を走るのも三宅島ならでは。
そしてレース後はお楽しみの懇親会。同じレースを走った仲間同士の交流はいいですね。そして表彰式が行われます。優勝の小池田猛選手には30万円、2位の馬場大貴選手は15万円、3位の斎藤祐太朗選手10万円、以下5万、4万、3万と総額67万円!! これはエンデューロレースでは日本一の賞金総額だそう! 目玉は、三宅島仕様の特別デカールが施されたCRF150RⅡ! 抽選で選ばれた応募者VS三宅島村長さんの恒例ジャンケンで1名にプレゼントされました(当選者は群馬から参加の#23桐本富士夫さん)。
開催にあたっては東京都と三宅島に多くの協力をいただき、特に三宅島の皆様には大変お世話になりました。グループに分かれて民宿に泊まり、地元のお料理をいただき、なにかと笑顔で接してくれる三宅の人達と、参加者同士が仲良くなれる雰囲気づくり、みんなで良いイベントにしようという空気に溢れていました。東京都はオリンピック前で財政も心配なところですが、今後も続けていけること熱望!
■トップ3のコメント
優勝 小池田猛選手 「先週のJNCCのレースで膝を怪我しての出場だったので、膝をひねらないように、足を着かないようにスローペースで走ろうと思っていました。2回くらい足を着いてしまったんですけど、1回も転ばずに怪我なく終えられたのでそれが一番よかったですね。馬場君が、若い走りというか強引に周遅れを抜いていくから(笑)おいていかれて、中盤、周遅れが入って1分くらい差がついてしまったときは、正直『勝てなくてもいいかな』という気持ちで走っていたんです。 後半でペースを上げたらいけるかな? という作戦で走っていたら馬場君が……。サンドも溶岩石も、コースは特殊で難しいんですけど、ちょっと横をみれば景色のいいところもいっぱいあって、ここでしか走れない貴重なレース。いままでシリーズを追いかけていて、来年はちょっとゆっくりしようかな? と思っているのですが、ここには来年も走りに行きたいと思います!」
2位 馬場大貴選手 「三宅島に行った人達がSNSで楽しそうにしているのを見て、バイク本来の楽しさをみんなと共有出来たらと思ったのが、今回三宅島に来たいと思ったきっかけです。レースは、火山灰のザクザクも楽しかったし、溶岩も難しかったのですが、運よく2時間トップを走って、あと30分のところで轍につかまってしまって2位でした。俺モトクロスライダーなんですけど、止まったところがバリバリにモトクロスゾーンの轍で(笑)自分としては悔しい2位。 小池田選手が、自分を抜かずに後ろにぴったりついてきて、最後に来るんだろうなというのは解っていたので、途中は無理せず体力温存で走っていたのですけど、残り30分で来ると思って自分もスイッチいれた結果……いなされましたね。2時間前を走っていたのではなくて“2時間前を走らされていた!”て感じです(苦笑)。走っても楽しいし、見ても楽しいと思うレースでした。三宅島の人も暖かくて、泊まる宿も部屋も同じで年代関係なくみんなで楽しめるいいイベントだと思いました。来年は見学だけでも知り合いを一緒に連れて行きたいです」
3位 斎藤祐太朗選手 「いつもは最初から飛ばさないんですけど、サイティングラップを走って、去年とほとんど同じコースだということが分かり、ライバルになりそうな大貴君もいたので最初から前に出る作戦でした。そうしたら自分が吹っ飛んでしまって(笑)。そこからは追いつきたいと思って走ったんですけどぜんっぜん追いつかなくて、ひたすら一生懸命走るだけの、僕としては苦しいレース。そこからは……先輩の真田さんと泥仕合ですね。 “俺はただひたすら4位キープで走っていたのに、なんでお前はこんなところにいるんだ?!ワンチャン来ないかなって、実はちょっと思ってた(笑)”(と、カットインする真田先輩) 最初の転倒以外は、大変なこともなかったのですけど、リズムに乗れなくて、三宅島のガレ場と最後まで仲良くなれなかったなっていう。去年に続いての3位で、最初はちょっと悔しかったんですけど、賞金(10万円)をもらったら『あ、よかったな♪』て思いました。 三宅島の宿の人も優しいですし、食べ物もおいしいし、散歩して海をみているだけで、楽しませてもらってるな~って感じがしました。次は観光だけでも来てみたいです」