2018年9月28日
■秋の交通安全運動、目立つバイク死亡事故 東京や大阪で独自に「バイク事故対策」盛り込む!
都内の飲酒死亡事故 ライダー死亡、四輪車より多く
秋の交通安全運動が30日まで、全国で展開中だ。この運動の重点的な取組みの中に、東京都は「二輪車の交通事故防止」を独自対策として取り入れた。バイク事故が減らないことだけではなく、背景にはバイクの飲酒死亡事故の異常な多さがある。
バイクの運転にはバランス感覚が必要で、それを鈍らせる飲酒運転は、多くのライダーが四輪車より少ないだろうと思い込んでいるのではないだろうか。しかし、予想に反して、東京都内では飲酒による運転者の死亡事故でバイク乗車中が四輪車乗車中を上回っている。9月17日現在、都内の飲酒事故死者数は9人。昨年比で8人増えた。そのうちバイク運転中は5人。いずれも運転者自らが飲酒し運転し発生した事故で、飲酒運転の巻き添えではない。内訳は自動二輪車で3人、50ccバイクで2人だ。
一方、都内の交通事故死者数は92人。前年同日で昨年より20人減少した。もっとも被害者は歩行者だが、65歳以上の高齢歩行者事故、全体数ともに減少して、全体の被害減少に寄与した。そんな中でバイク事故は単独事故を中心として、なかなか減る様子を見せない。さらに飲酒事故が大幅に増えたことで、交通死亡事故の原因として際立っている。
バイク事故に歯止めをかけるため、この秋の交通安全運動で東京都は独自に、「バイク事故防止」を重点施策に加えた。47都道府県すべての地域に共通する重点施策は4つ。子供と高齢者事故、夕暮れ時や夜間の自転車事故、後席も含めたシートベルト、チャイルドシート装着、飲酒運転の根絶だが、この最後に東京重点施策として設定したのだ。
交通安全運動の出発式で、白バイ隊員らを督励する田中俊恵交通部長。 |
大阪府内の交通事故死者数、バイク乗車中が全体の40%
バイク事故防止を重点施策とする運動は、大阪府でも実施中だ。大阪府の8月末現在のバイク事故死者数は33人。歩行者や自転車、四輪車を含めた全体の事故死者数は83人だが、その約40%がバイク事故によるものだ。大阪府の状態別割合、歩行者約30%、自転車約20%を大きく引き離す困った事態だ。
交通安全運動に先立つ18日の都内一斉交通街頭活動でも、クイーンスターズ、第一方面交通機動隊と愛宕警察署合同で、通行中のバイクを止めて安全運転をアドバイスする「二輪車ストップ作戦」が展開され、ヘルメットのあごひもの正しい装着や、胸部などプロテクターの着用を促した。交通安全運動期間中は、信号無視、横断歩道での歩行者妨害など、事故が多発する幹線道路の交差点を中心に重点的な監視が行われる。
また、大阪府警では、バイク死亡事故の約60%が交差点での右折・直進時事故と単独事故が占めていることを重視して、スピードを抑えた走行と安全確認をライダーに呼び掛ける。
(取材・文:中島みなみ)