全日本ロードレースに今季から復活したチームHRC、Red Bull Honda with Japan Post(#33)。ほぼほぼ8耐未経験者のピット内はテストからなにかおぼつかない様子を見せていましたが、決勝ウィークは素早いピット作業で「さすがのHRC」。
レオン・キャミアのテスト中の転倒、怪我による離脱で、なかなか3人目が決まらなかったチーム。中上、高橋の2人体制かとも予想されていたところ、パトリック・ジェイコブセンが加入。ツナギがまにあったのが決勝ウィークの金曜日というバタバタでした。そのため、ユニフォームでのチーム撮影を木曜にし、金曜日の短いインターバルにツナギでの集合を撮り直し。
決勝では前半の高橋巧がホールショットからトップに立ち、ウェット~ドライの難しいところをタイヤ交換を挟んで45ラップの連続走行。SCカー走行中はPJが粘り、最後はヤマハが給油のためピットインしタイムロスした際に逆転の可能性も見えたのですが、燃費走行のためかタイムが伸びず、そのまま2位でチェッカー。同一周回は2台だけでした。
来年はもっと強いHRCがやってくるんだろうという期待は大きい! もてぎGPでしか会えないMotoGPライダー中上貴晶の走行がたっぷり見れたのもの8耐でならではでした。
ヤマハ4連覇を目の前にナカスガサーンの負傷
土曜日のフリー走行でそれは起こりました。中須賀転倒負傷、右肩を痛め、決勝は走行せず。表彰後の記者会見で怪我の状況を問われるも「なんでもない」とはぐらかす中須賀、深刻な怪我の状況が伺えました。マイケル・ファン・デル・マーク、アレックス・ロウズの2人が中須賀の分もカバーして走り、ラストは給油のみのピットインでHRCに差を詰められたのですが、その勢いは最後まで衰えることはなく7秒台で走行。23秒に迫られたギャップを30秒に広げて1位でチェッカー。
実は上位チームがそれぞれ順調にいってなかった中で、今年のYAMAHA FACTORY RACING TEAM(#21)は8耐で大規模なブランド戦略を図り、カラーリングを伝統的なYZFカラーに統一したり、イベントを開催したりと、社を挙げて取り組んでいて、チームはプライベートテストを組んだり用意周到な準備を進めてきており、トラブルに対処する度量も一番あったのではと。結果として優勝は順当だったのではと、終わってみて思った次第。
今年の話題の中心といえばKawasaki Team GREEN(#11)のジョナサン・レイ、レオン・ハスラム、渡辺一馬組。レオンとジョニーはとても仲が良く、去年はレオンが5スティント(ラストは連続走行)で2位に入り、ジョニーに強烈なラブコールを送ったもの。「勝てる体制なら……」と言い続けていたジョニー。計時予選から他を1秒以上突き放したスーパーラップで会場を沸かせ、土曜の予選もトップタイムでカワサキポール獲得。決勝はヤマハとのトップ争いを先導し続けるも、ジョニーのピットイン時にガス欠のような症状でスローダウン。レオンにつなぎ、ジョニーがSC走行中に転倒してしまうのですが、修復のためのピットインで準備万端で待っていたのは「いつでも行ける準備をしていた」渡辺一馬。その後レオン、最後はジョニーと猛追。SCカーの滞在時間も長かったことから挽回までには至らずでしたが、カワサキ3年連続の表彰台となりました。満足いく結果にはなりませんでしたが、みんなの心を躍らせてくれたチーム。そしてウィーク中に発表されたレオン・ハスラムのSBK参戦。カワサキは来年も、この体制で忘れ物をとりに行ってほしいと思います。
世界耐久チャンピオンF.C.C.TSR
そして年間タイトルを獲得したF.C.C. TSR Honda France(#5)。8耐は耐久選手権の最終戦になり、TSRはシリーズランキング2位のGMT94と10ポイントの差をつけてトップで鈴鹿入りとなりました。テストから粛々と作業を進めるチームといつもより口数の少ない藤井監督。TSRといえば、ホンダのなかでも暴れん坊のイメージだったのですが、突出したタイムを出すわけでもなく、タイトルを狙っていく走りに徹するのは、TSRに暴れまわってほしいファンにとってはちょっと物足らない。でも一番それを悔しく思っているのも藤井監督とチームの人達だったのかもしれませんね。
レース後半、GMTとの一騎打ちのような場面もありましたが、すでに10ポイントの差がついていてここでGMTが前でゴールしても問題はなかったところ、きっちり前でゴールし見事年間タイトルを獲得。日本人が加入したチームがチャンピオンを獲得することはありましたが、日本を拠点に活動している(日本に籍をおく?)チームとして初のタイトルでした。