原付二種(G2)の理想郷を目指す”G2連邦”のピンキー高橋です。忘れもしない2013年夏、2500kmに及ぶ1都2府16県を駆け巡った夏休みツーリング(前編・後編)は、ちょっと大げさかもしれませんが私のバイク人生の中で1~2を争う素晴らしい思い出となりました。その時の相棒が黄色いクロスカブであり、私の原二生活の楽しみが、ひとつの頂点を迎えたのでした。あれから5年。生誕60周年を迎える2018年に、楽しみを共にしたクロスカブがモデルチェンジ! 果たして、どのような進化を果たしたのでしょうか?
■試乗:ピンキー高橋 ■撮影:依田 麗
■問合せ:Honda お客様相談センター TEL0120-112010 http://www.honda.co.jp/motor/
ベースとなる新型スーパーカブの完成度の高さを改めて実感!
2017年の東京モーターショーに市販予定モデルとして出展、スーパーカブ・ファンのみならず多くの人々から注目を集めた新型クロスカブが遂にリリースされました。当初、原付二種版の110のみと思われていましたが、原付一種の50もラインナップされたのはちょっとしたサプライズでありました。
新型は先代モデルに比べ、スーパーカブ・シリーズの特徴でもあるレッグシールドを外すなど、より遊び心を色濃くした外観がポイント。レッグシールド・レスのスタイル、日本では1981年のCT110以来(「カブラ」キットパーツを除く)ではないでしょうか? フロント、そして水平エンジンが丸見えとなるサイドビュー共に軽快な印象に仕上がっています。スリットの入ったマフラーカバーも視覚的ポイント。エンジン上にレイアウトされたエアクリーナーボックスなど補器類を覆う黒い樹脂製パーツが、現代の”ハンターカブ”であることを感じさせます。
ミラーは新型スーパーカブ同様、丸型に。110は可倒式ステップや、右サイドスタンド取付用ステー(穴)が先代クロスカブから継承されています。右サイドスタンドはオーストラリア郵政車の使い勝手に合わせて設定されているらしく、そのパーツがそのまま使用されているようです。
ボディカラーは110が3色、50で2色をラインナップ。110専用色となるカムフラージュグリーン、旧くは四輪車のバモスホンダ、二輪車はモトラ、ジャイロX、ズーマー、PS250などタフで遊び心あるモデルに同系の色が採用されおり、実にホンダらしい色ですね。
そんな2台で走ってきました。先に感想を簡潔に申しますと、乗る前から想像はついていましたが、滑らかで確実なミッション、スムーズでカドがとれた洗練されたエンジン、操縦安定性の高さなど、新型スーパーカブの完成度の高さがそのまま反映されているなぁということ。大変よく仕上がっていると感じました。
※写真はクロスカブ110です。写真の上でクリックするとクロスカブ50の写真を見ることができます。 |
クロスカブ50と110の比較。ライディングポジションのみならず見た目の印象も異なる。 |
ライダーの身長は173cm。※以下、写真をクリックすると大きく、または別の写真を見ることができます。 |
まずは110から。ライディングポジションをとると、スーパーカブに対して着座位置(目線)の高さを感じます。シートはお尻への当たりがやや硬め。これは新型も先代同様、オーストラリア郵政モデルの肉厚シートが使用されており、新型スーパーカブと同じく、長距離走行でもお尻が痛くなり難く乗り心地の良いウレタン、さらに視界の良い着座位置となるようシート高が設定されているから。スタンディングを必要とする場面でシートをニーグリップしやすくする形状となっており、安心感の向上も図られているそうです。シートに座ってから見るレッグシールドが無い景色、スーパーカブに乗り慣れた人にとってはきっと新鮮に感じることでしょう。
そして、新型スーパーカブ同様にエンジンの振動の少なさ、スムーズさには驚かされます。ミッションの入り、タッチ然り。そして3速の守備範囲が広く、40から50キロくらいでホールドしておけば力強い加速も得られます。クロスカブ110は新型も2次減速比が若干ショート化されており、カタログ燃費はスーパーカブ110に対して数値上では若干劣っていますが、実用上その差はほとんどないと思われます。
そうそう、忘れてはいけないのが、新型クロスカブ110は二人乗りが可能になったこと。今回、シートが用意できなかったのでタンデムライディングを試すことができませんでしたが、使い方の幅が広がったという点で嬉しい改良点だと言えるでしょう。
進化を続けている車体によって、横風の強い場所でも進路を乱されることなくピタッと安定しています。これはスーパーカブに対し高く幅広のハンドルによる効果も大きいかもしれません。とにかく不安がない。二人乗りも想定したセッティングとなっているはずですが、一人で乗っていても足の動きはスムーズでしなやか。 レジャー系カブのタイヤはこれまで、1964年のCT200から前後2.75-17という不変のサイズを貫いてきましたが、新型クロスカブは前後共通ながら80/90-17のメトリック表示となりました。銘柄はIRCのデュアルパーパス(オンオフ)系GP‐5D(前)/GP‐5(後)が採用されています。
続いて50。こちらは14インチの小径タイヤを履き、足着きや取り回しの良さを特徴とする、これまでのリトルカブに代わるモデルと言っていいでしょう。
50プロがベースとなっており、ウインカースイッチも右にレイアウト。ポジションはこじんまりしていますが窮屈ではありません。むしろ私個人的にはハンドル高さなど、50のポジションのほうがしっくりきました。街中をメインに走る人にとってはこちらの方がいいかもしれません。プロには110モデルもあるので、14インチタイヤのクロスカブ110もありじゃない? と思いました。
エンジンは”ヒューヒュー”という音も相まって電気モーターのよう。とてもスムーズです。50という限られたキャパシティだけに、どうしてもスロットル操作はラフになりがちですがピッチングが抑えられ、とてもよく躾けられているなぁと感じました。
先ほど申した通り50プロがベースとなっていますが、試乗車は目にも鮮やかなマグナレッドだったということもあり、視界的効果によって走っている時は50プロとはまた違った気分を味わえるから不思議です。ただ、運転感覚はスーパーカブそのもの。誰にでも優しい、60年に及ぶ”不変の哲学”が生きています。
機関、デザイン共に一新されたクロスカブ。特にレッグシールドを取り去った効果は大きく、ベースとなるスーパーカブのタフネスと相まって、普段の街乗りはもちろん、遠出もしたくなる、遊び倒したくなる1台。そういった点で大きく進化を果たしたと言えるでしょう。
ちょっとしたキャリアとしても使えそうなガードパイプ、LEDヘッドライトを採用。レッグシールドが取り払われ、よりレジャー色が濃くなった。センターカバーを外すとバッテリー、剛性の高そうな角断面のメインフレームが見える。 |
ハンドル、スイッチ類、シートは50と110それぞれ専用品。50はプロとの共用部品のため右ウインカースイッチとなる。110のシートは先代同様、オーストラリア郵政と共通の肉厚タイプ。スーパーカブと共通のリアキャリアは黒塗りとなる。 |
フロントブレーキのロックレバーは便利な装備。110には可倒式ステップ、右サイドスタンド取付ステーが備わる。タンデムステップは日本仕様の伝統とも言えるスイングアーム直付けタイプ。 |
110は17インチ、50は14インチのタイヤを採用。110はリムが黒塗りとなる。フロントフェンダーはスチール製。リアサスペンションは共にコイルスプリングむき出しタイプ。スーパーカブ同様にヘルメットホルダー装備。 |
レッグシールドがないことで横型エンジンの姿が露わに。110は428サイズのドライブチェーンにサイズアップ。リアマッドガードも装備される。クロームメッキのマフラーカバーはスリットが入ったクロスカブ専用品。 |
| 『Honda Super Cub 50/110 試乗「生誕60周年目前の新型は、もっと優しくなりました!」』のページへ |
| ホンダのWEBサイトへ |