ゴールドウイング 2,732,400円~3,315,600円(4月2日発売)
★ホンダ ゴールドウイング 車両解説
ゴールドウイングがダブルウイッシュボーンサスの採用などでフルモデルチェンジ
ホンダのフラグシップ、ゴールドウイングシリーズの歴史は長い。1974年に水平対向4気筒SOHC2バルブ、排気量999ccエンジンを搭載してのデビュー以来なので、なんと45年。その歴史だけで本が1冊出来てしまうほどだが、ざっと紹介しておくと、1980年にエンジンを1,085ccへとアップ。さらに1984年には水平対向4気筒時代の最大排気量となった1,182ccまで拡大。1988年にはフルモデルチェンジにより、エンジンも水平対向6気筒SOHC2バルブ、排気量1,520ccへと発展。この1500時代から国内の型式認定を得て国内でも発売が開始されている。
1980年の1,085cc時代から、生産は米国のホンダ拠点であるホンダ・オブ・アメリカ・マニファクチャリング(HAM)で行われ、海外生産車両を輸入販売する魁けとなった。また同時にクルマの方でもスペシャリティーカー「アコードクーペ」(アコードの派生機種)を日本に輸入販売したことで話題となっている。2011年10月以降、ゴールドウイングの生産は、国内に戻され、熊本製作所が生産にあたっている。
その後ゴールドウイングは、国内でもほぼ毎年イヤーモデルとして販売されてきている。1990年にはアメリカでの生産10周年を記念した特別仕様車を発売。1994年にはゴールドウイングの20周年を記念した特別仕様車も発売している。1996年にはゴールドウイングをベースに本格的なクルーザーとしたワルキューレを発売。このモデルは2001年モデルまで継続発売された。
2001年8月、水平対向6気筒SOHC2バルブエンジンの排気量を1,832ccまでアップした1800ゴールドウイングの時代が始まる。三元触媒の「Honda Evolution Catalyzing System 3」(HECS3)を採用して世界最高水準の環境性能を実現、フレームも新設計のアルミフレームを採用。そして国内専用仕様として、量産二輪車世界初の電動式光軸調整機能付のディスチャージ式ヘッドライトや、間欠機能付電動ワイパー、Honda Ignition Security System(H・I・S・S)という盗難抑止システムなどを採用していた。
1800時代もほぼ毎年イヤーモデルが登場したが、2004年には、低価格設定のゴールドウイングUSパッケージをタイプ設定。通常モデルが3,150,000円のところUSパッケージは2,614,500円だった。2005年にはゴールドウイング30周年記念モデル。2007年には二輪車用エアバッグシステムを搭載したタイプを追加設定。2008年にはビルトインタイプのナビゲーションシステムを導入。また、2004年にはゴールドウイングの水平対向6気筒エンジンを搭載するメーカー純正カスタムマシンといえるRUNEが発売されている。2012年12月発売の2013年モデルでは、車体色に新たにデジタルシルバーメタリックを採用したモデルを追加、従来からのパールフェイドレスホワイトに加え2色の展開となっていた。
2013年2月には、ゴールドウイングのユーザー層を拡大するために、若い世代にも受け入れられそうなロー&ロングフォルムのスタイリングと、軽量化、そしてなによりコストダウン努力により、頑張れば手の届く価格設定としてゴールドウイング F6Bが発売された。ゴールドウイングシリーズの一員でありながら200万円を切るプライス(199万5千円)での登場は大いに話題となった。ただ2013年12月のカラーチェンジを期に、価格が若干ながら上がって200万円を超えてしまったのは残念。
また2014年4月には、ゴールウイングシリーズのさらなるバリエーションモデルとして、F6Bの兄弟車といえるF6Cが登場している。2013年の東京モーターショーに登場した“マッスルクルーザー”だ。ゴールドウイングシリーズの水平対向6気筒、1832ccエンジンと基本骨格を継承、フロントからリアにかけて流れるように下がっていく“トライアングルフォルム”のクルーザースタイルを特長としている。ゴールドウイングに比べ75kgの軽量化と、価格もF6Bの登場時と同様、200万円を切る199万8千円の低価格設定だった。
同じ年の11月、ゴールドウイングの発売40周年を記念した特別仕様車、ゴールドウイングSEも登場している。同時にゴールドウイングシリーズの本体も2015年モデルとなった。ゴールドウイング SEシリーズは、キャンディープロミネンスレッドとグラファイトブラックの専用ツートーンカラーが採用され、フレーム、前後ホイール、マフラー、ロアーカウルをブラックとしたモデルで、各所に40周年を記念したエンブレムなどが採用されて登場したが、ゴールドウイング本体の2015年モデルも、その記念エンブレムを前後に採用して、キーも記念エンブレム付のキーとなった。
2015年の11月には、ゴールドウイングシリーズに新色「キャンディープロミネンスレッド」を設定、継続色の「パールグレアホワイト」との2色を用意したほか、「ベビーグレーメタリック-U」という40周年記念モデルで好評だったツートーンカラー車も設定、全3色のカラーラインナップとした。
2016年10月に登場した2017年モデルでも、カラー設定の変更のみで、新色として「グリントウェーブブルーメタリック」のツートーンカラーを設定。上質感のある「パールグレアホワイト」と、迫力のあるスタイルをより際立たせる「キャンディープロミネンスレッド」2色のソリッドカラー、高級感のある「ベビーグレーメタリックU」を継続色とし、全4色のカラーバリエーションとなっていた。
今回のフルモデルチェンジでゴールドウイングは、第6世代へ発展することとなった。水平対向6気筒エンジンという基本形式こそ変わらないものの細部まで見直しを行い、重量の軽減、コンパクト化を図りながらも、新たにシリンダーヘッドにユニカム方式を採用したというのが最大のポイントだろう。従来のシリンダーあたり2バルブから4バルブへと変更し、燃焼効率の向上、フリクションの低減も図りつつパワー、トルクともに向上させている。
車体周りもバイク本来の走りを楽しむという開発テーマから大幅な軽量化とコンパクト化が図られたが、何より最大の特徴といえるのがフロントに採用されたダブルウイッシュボーンサスだろう。現在、ほとんどのバイクで採用されているテレスコピックサスは、シンプルで効率の良さが売りだが、超重量級のモデルに対しては摺動抵抗の大きさが目立つようになってしまう。そこで取り入れたのが、路面からのショックを吸収する機能と転舵機能とを役割分担させることができるダブルウイッシュボーンサスの採用だった。
さらに新型ゴールドウイングの特徴として、DCT(Dual Clutch Transmission)搭載タイプの存在がある。それも第3世代のDCTとして、長距離の高速ツーリング等を想定した7速化と、左手のボタン一つで微速前後進機能が働く“ウォーキングモード”を搭載した最新のDCTシステムを搭載したモデルを設定したことだ(通常のマニュアル6速ミッションモデルの設定も有り)。
この新世代のフラッグシップモデルは、4月2日からホンダの新販売チャンネル“Honda Dream”で販売される。
★HONDA ニュースリリースより (2018年1月12日)
大型プレミアムツアラー「Gold Wing(ゴールドウイング)」を
17年ぶりにフルモデルチェンジし発売
Hondaは、モーターサイクルとしては唯一※1の水平対向6気筒1800ccエンジンを搭載した、大型プレミアムツアラー「Gold Wing(ゴールドウイング)」をフルモデルチェンジし、リアトランクとサドルバックを標準装備とした「Gold Wing Tour(ゴールドウイング ツアー)」とサドルバックのみを標準装備した「Gold Wing(ゴールドウイング)」を4月2日(月)に新販売網のHonda Dreamより発売します。
Gold Wingは、1975年に米国でGOLDWING GL1000を発売して以来、今回のフルモデルチェンジで6世代目となり、40年以上にわたり、Hondaのフラッグシップモデルとして進化してきました。
今回、モーターサイクルがもつ魅力の原点に立ち返り“走りの高揚感” “操る楽しさ”を実現するため、快適な乗り心地と軽快なハンドリングを実現するHonda独自の二輪車用ダブルウィッシュボーンフロントサスペンションを採用するなど、車体とエンジンを新開発。また、機能性と上質さを追求したコンパクトなデザインに加え、数々の先進装備を採用するなど、パッセンジャーとともに最上の感動を共有できるモーターサイクルとして、17年ぶりに全面刷新を図りました。
車体は、ダブルウィッシュボーンフロントサスペンションを採用することで、居住性向上とマス集中化を図るとともに、従来比38kg※2の軽量化により、取り回しのしやすさを大幅に向上させ、市街地からロングツーリングまで幅広い用途に使用できるものとしています。
エンジンは、低回転域でのトルクフルな特性により、ゆったりとしたクルーズ性能とダイナミックな加速性能を実現するとともに、燃焼効率の追求などにより燃費性能を従来モデル比で7km/L※3向上。また、トランスミッションには6速マニュアルタイプに加え、さらなる知能化を図った三世代目となるHonda独自の7速Dual Clutch Transmission(DCT)を採用し、微速前後進機能を追加するなど扱いやすさの向上を図りました。
※1 Honda調べ
※2 Gold Wing Tourと従来モデル ゴールドウイングでの比較
※3 60km/h定地燃費値
- ●販売計画台数(国内・年間)
- シリーズ合計 500台
- ●メーカー希望小売価格
- Gold Wing 2,732,400円(消費税抜き本体価格 2,530,000円)
- Gold Wing Tour(キャンディー アーダント レッド、パール グレア ホワイト)
2,959,200円(消費税抜き本体価格 2,740,000円) - Gold Wing Tour(パール ホークスアイ ブルー)
3,013,200円(消費税抜き本体価格 2,790,000円) - Gold Wing Tour Dual Clutch Transmission
3,315,600円(消費税抜き本体価格 3,070,000円) - ※価格(リサイクル費用含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
- ●車体
- ・フレームは、しなやかさと剛性感を兼ね備えた軽量のアルミツインチューブ式を継承。
- ・高い安定感と運動性能の両立を図るため、リアトランクの仕様の見直しなどにより車体全長を従来モデル比で55mm短縮するとともにマスの集中化を実現。
- ・Honda独自の新開発二輪車用ダブルウィッシュボーンフロントサスペンションの採用により、加減速時や路面ギャップによるショックの少ない滑らかな乗り心地を実現するとともに、ハンドル軸回りのスペースを削減することで、フロントカウルのコンパクト化を達成。
- ・スクリーン角度/高さを無段階で調整できる電動スクリーンの採用により、走行シーンや好みに応じた適切なウインドプロテクションを確保。
- ・リアトランクとサドルバッグのラゲッジスペースは、3泊4日2人分相当の荷物量を目安に合計110Lの容量を確保。
- ●パワーユニット
- ・モーターサイクルでは唯一無二の水平対向6気筒エンジンの形式を継承しながら、軽量コンパクト化を図るため全てを新設計。
- ・低速域からの低振動かつトルク感溢れるダイナミックな加速フィールを達成するとともに、燃焼効率の追求とフリクション低減技術の投入により60km/h定地燃費値で従来モデル比7km/L向上。
- ・シリンダーのボアピッチ、左右シリンダーオフセット量を見直すことで、エンジン前部から左シリンダーヘッド後端までのエンジン長を従来に比べ29mm短縮。
- ・バルブ駆動方式にユニカムバルブトレインを採用するなど、従来に比べエンジン単体で約6.2kg※4の軽量化を実現。
- ・ジェネレーター(発電装置)とスターターモーターの機能を一つに統合したISG(Integrated Starter Generator)を大型二輪車に初採用※5し、軽量コンパクト化とエンジン始動時の静粛性を向上。
- ・マニュアルトランスミッションを従来の5速から6速へと多段化することで、高速巡航時のエンジン回転数を下げ、静粛性を向上。
- ・新開発した第三世代DCTは、変速ショック低減や燃費性能、静粛性を向上させるため7速化を図るとともに、微速前後進機能“ウォーキングスピードモード”を追加することで駐車時などの切り返しやUターンでの取り回しやすさを格段に向上。
- ※4 6速マニュアルトランスミッションタイプ
- ※5 Honda調べ
- ●制御・電装
- ・ライダーのグリップ操作に対し、スロットルバルブ開度を電子的に制御するスロットルバイワイヤの採用と併せ、「ツアー」「スポーツ」「エコノ」「レイン」の4種の走行シーンにマッチした“シーン別ライディングモード”を採用し、出力特性と運動性能による「走る」「曲がる」「止まる」の最適なバランスを提供。
- ・ヒルスタートアシストを採用し、坂道発進時の過度な緊張や負担を軽減。
- ・パッセンジャーや荷物の有無に応じ、最適なリアサスペンション減衰特性をワンタッチで選択できる電動プリロードシステムを採用。
- ・メーター左下にタイヤ空気圧を数字で表示※6するタイヤ空気圧モニターを採用することで利便性を向上。
- ・快適なライディングをアシストするナビ機能をはじめ、アプリケーションに特化したサービスを提供するApple CarPlay※7を二輪車として初採用※8
- ・エマージェンシーストップシグナルを装備することで急ブレーキをいち早く後続車に伝達。
- ・ETC車載器を全タイプに標準装備し、ツーリングでの利便性を向上。
- ※6 Gold Wingはインジケーターのみ
- ※7 Apple CarPlayはApple Inc.の商標です。Apple CarPlay使用には、市販のBluetoothヘッドセットとの接続が必要です
- ※8 Honda調べ
- ●スタイリング
- ・洗練された鋭さと張りのある引き締まったボディー面構成により、大幅に向上した運動性能や、五感で感じられる上質さを表現。
- ・ボディー上側は、快適性や軽快な操縦性に寄与する優れた空力特性と、質感の高さを高次元でバランスさせた機能的でコンパクトかつシャープな印象の外観を実現。
- ・ボディー下側は、新機構のダブルウィッシュボーンフロントサスペンションから低重心の水平対向6気筒エンジン、エキゾーストパイプ、マフラーへと続くメカニカルラインによりモーターサイクルらしい機能美を強調。
- ●カラーバリエーション
- ・Gold Wing Tour Dual Clutch Transmission
には、「Gold Wing」シリーズ専用色として新開発した、深みとコントラストの強さにより豊かな立体感を表現する「キャンディー アーダント レッド」と漆黒のブラックメタリックの2トーンカラーを配することで、最上級モデルに相応しいシックで豪華な存在感を演出。 - ・Gold Wing Tourには、「キャンディー アーダント レッド」と、はつらつとした輝きと上質感を兼ね備えた「パール グレア ホワイト」、高い彩度とともに深みを感じさせる「パール ホークスアイ ブルー」の3色を設定。
- ・Gold Wingには、「キャンディー アーダント レッド」と、陽光を反射するサラブレッドの躍動美をイメージした「パール スタリオン ブラウン」、先進性を感じさせるとともに、硬質でエッジの際立つボディーを強調する「マット マジェスティック シルバー メタリック」の3色を設定。
★主要諸元
車名型式 | 2BL-SC79 | |
---|---|---|
Gold Wing Tour Dual Clutch Transmission |
||
発売日 | 2018年4月2日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.575《2.475》×0.905〈925〉《925》×1.430《1.340》 | |
軸距(m) | 1.695 | |
最低地上高(m)★ | 0.130 | |
シート高(m)★ | 0.745 | |
車両重量(kg) | 383〈379〉《365》 | |
乾燥重量(kg) | - | |
乗車定員(人) | 2 | 燃費消費率(km/L)※9 | 27.0(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※10 |
18.2〈17.7〉《17.7》(WMTCモード値★ クラス3-2 1名乗車時)※11 | ||
登坂能力(tanθ) | - | |
最小回転半径(m) | 3.4 | |
エンジン型式 | SC79E | |
水冷4ストローク水平対向6気筒SOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 1,833 | |
内径×行程(mm) | 73.0×73.0 | |
圧縮比★ | 10.5 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 93[126]/5,500 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 170[17.3]/4,500 | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置(PGM-FI) | |
始動方式★ | セルフ式 | |
点火方式★ | フルトランジスター式バッテリー点火 | |
潤滑油方式★ | 圧送飛沫併用式 | |
潤滑油容量(L) | - | |
燃料タンク容量(L)★ | 21 | |
クラッチ形式★ | 湿式多板コイルスプリング式 | |
変速機形式 | 電子式7段変速(DCT)〈常時噛合式6段リターン〉《常時噛合式6段リターン》 | |
変速比 | 1速 | 2.166〈2.200〉《2.200》 |
2速 | 1.695〈1.416〉《1.416》 | |
3速 | 1.304〈1.035〉《1.035》 | |
4速 | 1.038〈0.820〉《0.820》 | |
5速 | 0.820〈.666〉《0.666》 | |
6速 | 0.666〈0.521〉《0.521》 | |
7速 | 0.521〈電動リバース〉《電動リバース》 | |
減速比(一次★/二次) | 1.795/0.972×2.615 | |
キャスター(度)★ | 30°30′ | |
トレール(mm)★ | 109 | |
タイヤサイズ | 前 | 130/70R18M/C 63H |
後 | 200/55R16M/C 77H | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ダブルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | リンク式 |
後 | スイングアーム式(プロリンク)(プロアーム) | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
■道路運送車両法による型式指定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元) *製造事業者/本田技研工業株式会社
※9 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※10 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※11 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます