──ヴィニャーレス選手は22歳。経験としてはまだ浅い選手です。その彼が、自分好みの車体を使い続けたいとリクエストしていた、ということですか。
「マーヴェリックはひとりでレースをしていたわけではありませんよ。彼には自分のチームがあり、そしてチームとしての方針があります。たとえば、ドゥカティを見れば、ロレンソ選手はいつもニューフェアリングを使っていましたが、ドヴィツィオーゾ選手はそうではありませんでしたよね。私たちがライダーに使用を強いるようなことは一切ありません。すべては選手たちの選択によるものです」
──ロレンソ選手の名前が出たのでお訊ねします。彼がいなくなったことで開発への影響はありましたか?
「ロレンソ選手は、ヤマハに素晴らしい成績を残してくれました。現在は、バレンティーノとマーヴェリックががんばってくれています。今年の結果は、ロレンソ選手がヤマハを去ったからではありません。じっさい、彼は今シーズン苦戦をしていましたよね」
──彼があれほど苦戦すると思っていましたか。
「シーズンの最後まで一勝もしなかったのは、少し驚きましたね。一方のドヴィツィオーゾ選手は、あれだけ高い戦闘力を発揮していたわけですから……」
──バレンシアのレースでは、チームのメッセージに従わないという一件もありました。
「あれだけ何度もメッセージを出していたのだから、やや奇妙ではありますね。レース前にああいう事態を想定したミーティングは当然している、と私は思っていたのですが。そうしておけば、ドヴィツィオーゾ選手が前に追いつけるペースがあるのかどうかを見るために、譲ってみることもできたのではないかと思います。指示に従わなかったのは、あまり通常のことではないかもしれませんね」
──2017年シーズンの収穫は?
「シーズン序盤は強さを発揮できたと思います。マーヴェリックはとてもがんばってくれて、我々の期待にも充分に応えてくれました。バレンティーノのアッセンでの優勝と、負傷からの復帰も忘れがたいですね。38歳とは思えないほどの闘争心です。また、ル・マンでは、ヤマハの500勝目を達成しました。そして、ヨハンですよ」
──ザルコ選手の獲得は大正解でしたね。
「今年の彼には驚かされっぱなしでした。開幕前の彼は、たしかに注目株の筆頭ではなかったかもしれません。でも、皆の予想を大きく上回る走りを披露し続けた結果、今では多くのチームがヨハンに興味を持っているようです。KTMのようにね」