2016年10月5日
■来るべく時代に向け、ホンダとヤマハが原付一種領域でタッグ
すでに一部情報がニュースなどで伝わっているが、本田技研工業とヤマハ発動機が協業に向けた業務提携について検討を開始したことを正式に発表した。
協業は日本国内50cc原付スクーターや定格出力0.60kw以下の電動二輪車を含めた原付一種(原一)領域に限る。今年の2月、ヤマハ側よりホンダ側へ提案。販売店は協業の範囲ではない。まずは2017年3月の契約、2018年中にホンダがヤマハへOEM供給するモデルの販売を目指す。OEM供給されるモデルは、ホンダのダンクやタクトなどと共通のプラットフォーム(フレーム、エンジン)を使い、ホンダの熊本工場で生産されるヤマハ独自のデザインが施されたモデルとなる。
昨今、軽自動車や電動アシスト自転車などによる近距離移動手段の多様化により、原一バイクの販売は減少。二輪車メーカーにとって厳しいビジネス状況は続いているが、日本の二輪車保有台数の半分以上は原一であり、エントリーモデルとして今後の二輪文化を盛り上げていくために原一バイクの重要性を重んじているのは二社共通の考えだという。
原一領域とは言え、世界で鎬を削ってきたホンダとヤマハが共同開発含めた提携を行うというのはバイク・ファンにとって大きなニュース。両社が提携を行うほど二輪業界は変わりつつあるという現実があるが、二輪業界の将来に向けたポジティブな提携と捉えたい。
協業に向けた主な検討内容、各社コメントは以下の通り(プレスリリースより)
1. 50cc原付スクーターのOEM供給
Hondaが生産・販売を行う日本市場向け50cc原付スクーター「TACT(タクト)」・「Giorno(ジョルノ)」をベースとしたモデルを、2018年中の開始を目標に、ヤマハへOEM供給します。
ヤマハは、このOEM供給を受け、それぞれ「JOG(ジョグ)」・「Vino(ビーノ)」に該当するモデルとして販売する予定です。
2. 次期50cc原付ビジネススクーターの共同開発・OEM供給
現在、日本市場向けにHonda「BENLY(ベンリィ)」、ヤマハ「GEAR(ギア)」としてそれぞれ開発・生産・販売している、50cc原付ビジネススクーターに関して、次期モデルの共同開発、及びHondaからヤマハへのOEM供給を検討します。
3. 原付一種クラスの電動二輪車普及に向けた協業
日本市場における原付一種クラスを中心とした電動二輪車の普及を目的に、航続距離・充電時間・性能・コストといった課題の解決を目指した基盤づくりの協業を検討します。そして、今後生まれる取り組みの成果を同業他社、異業種にも広く提案することで、電動化の普及に取り組みます。
本田技研工業株式会社 取締役 執行役員 青山真二のコメント
「今回の協業を通じて、お客様の期待を超える原付一種商品を提供することで、日本の二輪車市場の活性化と、将来の電動二輪車の一刻も早い普及に向けた市場環境づくりに全力で取り組みます」
ヤマハ発動機株式会社 取締役 常務執行役員 渡部克明のコメント
「このたびのOEM提携をきっかけとしてスタートすることとなった協業は、単なる製品供給の枠を超えた、日本の二輪車文化の未来を拓く活動であると確信しています」