スポーツ誌や一般誌、二輪誌はもちろん、マンガ誌や通信社、はては欧州のバイク誌等にも幅広くMotoGP関連記事を寄稿するジャーナリスト。訳書に『バレンティーノ・ロッシ自叙伝』『MotoGPパフォーマンスライディングテクニック』等。第17回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞した最新著『最後の王者 MotoGPライダー・青山博一の軌跡』は小学館から絶賛発売中(1680円)。 twitterアカウントは@akyranishimura |
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1月31日から2月2日までの三日間、マレーシア・セパンサーキットで今年最初のプレシーズン合同テストが実施された。レギュレーションが大幅に変更される節目の年で、ホンダ、ヤマハ、ドゥカティのワークスマシンが勢揃いし、しかも今年から導入されるCRT(Claiming Rule Teams:量産車改造エンジンを独自フレームに搭載したマシン)勢も参加するとあって、見どころ満載のテストだった。 |
テスト最終日のタイムでも、CRT最上位(エドワーズ)とプロト最上位とのタイム差はまだかなり大きいが、プロト最後尾にはかなり接近していることが見て取れる。とはいっても、一周あたり2秒5の差がある以上、経験豊富なエドワーズといえども、プロト最後尾を勝負できる射程圏内に収めるのは現状ではまだかなり難しそうだ。三日間の推移でも、CRTのタイムの詰め幅はプロト勢のタイム上昇よりも大きいとはいえ、このタイム上昇は初日の出足が低かったことによるものだろうから、ここから先さらにタイムを上げてプロト最後尾にどれだけ肉迫できるかということに関しても、未知数、といわざるをえない。さらに、彼らのテスト内容を見ていると、電気系のトラブルでなかなかピットアウトできなかったり、あるいはフルードの漏れが発生してその解決に時間を費やしたり、といった具合で、メカニカルな面での課題もまだまだ多そうだ。ちなみに、プロト勢最上位のタイムとCRT最後尾のタイム差(約10秒)は、セパンサーキットでいえばちょうどレース中盤の12周目あたりに周回遅れが発生する計算になる。いってみれば、鈴鹿8耐のレース開始後30分あたりの状況、といえばおおよその察しがつくだろうか。 ……とまあそういうような具合で、CRT勢のパフォーマンスは現状ではまだ多くの課題が山積していることが明らかになったセパンテストではあった。ただ、CRTというコンセプトが誕生したときから、この程度の差が生じるのはおそらく織り込み済みだろう。その差を埋めるために、つまり、CRT勢のパフォーマンスを向上させつつプロト勢との差を詰めてゆくために、様々な案の提出や協議がDORNAとMSMA(スポーツモーターサイクル製造会社協会)の間で行われており、今回のセパンテストでもミーティングが行われた。来年のレギュレーション成立に向けて両者間で様々な交渉や譲歩、駆け引きなどが行われているであろうまさにその渦中の現在、いくつかのたたき台のような案もちらほらと漏れ聞こえてはくるが、これらに関しては機会があれば改めて稿を起こすことにしたい。 |
いずれにせよ、CRTが本格的に動き出した以上、その規格が存在意義のあるものになり、MotoGPの世界最高峰としての権威と品格を損ねることなく、レースの興趣をさらに高める形で定着をしてほしいと思う。 ふむ。なんだか今回は妙に生硬な文章になってしまってすいません。2月末のセパンテストはもうちょっと力を抜いたレポートにしたいと思います。というわけで、ではまた次回。 |
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次回のテストは2月28日から3日間。 |
2012年MotoGPエントリーリスト
No. | ライダー | チーム名 | 車両 | |||
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1 | ケーシー・ストーナー | レプソル・ホンダ・チーム | HONDA | |||
4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | ヤマハ・テック3 | YAMAHA | |||
5 | コーリン・エドワーズ | フォワードレーシング | シューター(CRT) | |||
6 | ステファン・ブラドル | LCRホンダ | HONDA | |||
8 | エクトル・バルベラ | プラマック・レーシングチーム | DUCATI | |||
9 | ダニロ・ペトルッチ | イオダ・レーシングプロジェクト | イオダ(CRT) | |||
11 | ベン・スピース | ヤマハ・ファクトリーレーシング | YAMAHA | |||
14 | ランディ・デ・ピュニエ | アスパーチームMotoGP | ART(CRT) | |||
17 | カレル・アブラハム | カルディオンABモトレーシング | DUCATI | |||
19 | アルバロ・バウティスタ | ホンダ・グレッシーニ | HONDA | |||
20 | アレックス・エスパロガロ | アスパーチームMotoGP | ART(CRT) | |||
22 | イバン・シルバ | BQR | BQR-FTR(CRT) | |||
26 | ダニ・ペドロサ | レプソル・ホンダ・チーム | HONDA | |||
35 | カル・クラッチロー | ヤマハ・テック3 | YAMAHA | |||
46 | バレンティーノ・ロッシ | ドゥカティ・チーム | DUCATI | |||
51 | ミケーレ・ピロ | ホンダ・グレッシーニ | FTR(CRT) | |||
68 | ヨニー・エルナンデス | BQR | BQR-FTR(CRT) | |||
69 | ニッキー・ヘイデン | ドゥカティ・チーム | DUCATI | |||
75 | マティア・パシーニ | スピード・マスター | ART(CRT) | |||
77 | ジェームス・エリソン | ポール・バード・レーシング | ART(CRT) | |||
99 | ホルヘ・ロレンソ | ヤマハ・ファクトリーレーシング | YAMAHA |
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