幻立喰・ソ

第63回「武田武田武田〜だけだ武田〜」

 
 しなの鉄道に「ろくもん」という電車が走っています。最近大流行のお食事付き観光列車です。真っ黄色の車体には、天ぷらのメニューがずらりと書かれ、車中で出されるのはもちろん六○そば……だったら、たまりませんね。残念ながらといいますか、当然そんなわけはありません。
 その代わり? 広島あたりで走っているJRの電車は真っ黄色です。最近はカープ色の新車も入ったようですが、真っ黄色なのは国鉄時代のお古ばかりです。だから鉄は末期色なんていいます。上手いこといいます。真っ黄色の電車に天ぷらメニューをずらーっと書いて「ろくもん」と呼びたいのですが、末期色だと三途の川の渡し賃のほうだと思われかねません。


ろくもん

ろくもん
広島の末期色です。国鉄の労使暗黒時代に見られたアジ電車(×味・○アジテーション)みたいですが、これぞまさしく六文電車! ですがこういうアイコラをすると115系原理主義者に怒られます。

 
 などと、相変わらずの鉄話に逃げたところで逃げ切れる訳もなく、前回のおざなりっぷりがあまりに見事すぎたことを心配した坂崎師匠が、そっといろいろ教えてくれました。神様のような師匠とダメな弟子(といいつつ、公認ではありません。私が新聞沙汰の事件を起こすと自称弟子と書かれます)、いつもながら感謝感激です。

 
●ス○ヒロは、もともとは六○そばのフランチャイズとしてできたはず。
●八丁堀のス○ヒロは、制服にいまも六○そばと刺繍が入っている。
●一世を風靡した六○そばが衰退したのは、小○そばの台頭によるといわれている。
●六○そばは、当初7人で立ち上げた。
●ちなみに浜松町と新橋の間にある六○そばは、今は関係のない個人店。

などなど。
 へー!? &えー?! マジですか、そうだったんですか。「そんなことも知らないで、よく立喰・ソコラムなんぞやっているものだ」という天の声が聞こえてくるような気もしますが、最近老眼だけでなく、耳も遠くなってきたので聞こえません。
 7人の賢者が立ち上げたのならば、七文そばでもよさそうですが、それこそ余計なお世話というものですね。ありそうでないのが立喰・ソゲーム。だからどこかの誰か「六○そばと七賢者のゲソ」というRPG(ゲリラが持っているロケット弾ではなく)作っていただけないでしょうか。フライヤーとテポを武器に、小店舗乱立の1960年代から、猛烈サラリーマンの胃袋をがっちり掴んで急成長、そして新進気鋭チェーン店との激闘を勝ち抜き全国制覇(除く香川県)。やってみたくないですか? 平安京エイリアンをしのぐ大ヒット間違いなしではないかと思いますが(無担保無保証)。


大門店

三越前店
黄色い看板の六○そば。現在は須田町、昌平橋、人形町、日暮里1号店、2号店、中延、金杉橋と、新橋と浜松町の間あたりにも1軒あります(このお店は今は個人店だそうです)。かつては、三越前、本郷三丁目、大門、虎ノ門、神保町などにもあったそうですが、私が記憶しているのは大門(左。2004年11月撮影)と、つい最近まであった三越前(右 2012年3月撮影)ぐらいというていたらく。

 ゲームといえば、最近は電車の中で本を読んでいる人よりスマホでゲームしている人が圧倒的です。スペースパニックをやっているのでしょうか。ちがいます。流行は連鎖反応系(わたしのAT○Kは連鎖飯能と変換しやがりました。どういう飯能なんだよと、イラッとします)です。ディグダグ以降テレビゲーム(死語)をやっていないので、といいますか、スマホを持っていないのでやりたくてもできません。きっとやめられなくなるおもしろさだと思うのですが、覚えた手の(今回はうまいこと誤変換しました)、じゃなくて、覚えたての中学生じゃないんだから、みなさんもやりすぎには十分注意してゲームを楽しんでください。

 連鎖反応といえば、思い出すのは本コラム常連AB君。彼はパチンコライターもやっておりました、といってもパチンコ屋さんにぶら下げてあるライターをやっていたのではありませんが、パチンコ屋のアルバイト店員をやっていたこともあり、マイクを握ると「はい、いらっしゃいませ〜、いらっしゃいませ〜」と延々しゃべり続けます。そんなサービス精神溢れるAB君は、1箱出せば10連チャン、1万円負ければ10万円、隣で打っていたおばちゃんにガムを1枚もらえば、峰不二子にランチ誘われ、ついでにごっつあんですみたいな、大盛りに話を盛りまくり記事が一部で好評でした(推測)。
 そんなAB君が主張していたパチンコ必勝(必敗)理論のひとつが連鎖反応です。ある台が大当たりすると、釣られて特定の台も大当たりするというのです。その台が大当たりすると脱兎のごとく駆け出しマークしていた台を打つのですが、大当たりするはずもありません。それでも「連鎖反応のタイミングは電圧によって微妙に変わるんや」とハンドルを小刻みに動かしてみたり、自動ドアを何度も開け閉めして店員さんに注意されたりと前向きでした。
 当たり付き自販機も「2台同時に買うと連鎖反応するんや」と言い張っておりました。当たり付き自販機には独得なブランドの飲料が入っていることが多く、当たってもそれほど嬉しくないのですが、当ってもいないのにいちじくジュースと、しるこコーヒーを両手に小首をかしげるAB君にちょっとだけ愛しさを感じたこともありました。しかしなにより、このド阿呆、この先どうなるかと心配しましたが、捨てる神あれば……今では連れ合いと二人、暗いうちからスエ○ロに通っているのですから、人間万事塞翁がAB。彼の飽くなき探究心が連れ合いのハートを連鎖させたのでしょう。
 ということで、お祝いの言葉に代えさせていただきます。どうぞ末永くお幸せに。と終わるわけにもいきませんが、大物芸能人の結婚も連鎖反応状態で続きました。あの人がねえと驚きましたが、よくよく考えるまでもなく、先の六○そばの驚き指数の大きさと比べるまでもなく、昨今は幻となったおきあみ天の次くらいに好きな堀北真希ちゃんが誰と結婚しようが、私にはまったく関係のないことでした。ですが、どうぞ末永くお幸せに。
 

 ぼちぼち本題に入ります。
 東京は文京区の春日。白山通り沿いには武田、○○○そば、おか田、豊しまと4軒の立喰・ソが連なる(といっても、4軒並んでいる訳ではありません)ステキな通りです。それが、なんと、こともあろうか、なかろうか、あるのかないのかどっちなんだい、どっちでもいいけれど、今夏頃からく幻立喰・ソ連鎖反応が起こったのです。最後に残ったのは○○○そば。バリバリ現役店ですから、当コラムのあやふやルールにより伏せ字にしなければならないのですが、伏せ字にできません。もう伏せ字になっているじゃないかって? いやそれがですね困ったことに伏せ字ではなく、なんと店頭に堂々と○○○そばという看板が付いているのです。現役店は伏せ字というあいまいかついいかげんなルールを逆手にとって付けたような店名だったらすごいのですが、そんなことあろうはずがないので、どうぞご安心を(とはいえ、実は違う名前も書いてあり、これが正式店名のようですが、○○○そばじゃないと話のつじつまがあわなくなるので……しかし、これなんと読むのでしょう?)。


武田

武田
ありし日の武田。サービス券を10枚集めると1杯無料。手元に残ったサービス券はどうなるのでしょう?(2014年10月撮影) しばらくシャッターを下ろしたままでしたが、天○めという新しい立喰・ソにリニューアル工事中でした。(2015年9月撮影)

武田

亀よし
そういえば、永代橋の近くにあった武田(2013年11年撮影)も、亀○し(2015年9月撮影)という新店舗になっていました。武田ブランドは消滅でしょうか? それはさておき反対側から撮って定点観測になっていません……学習能力のなさ、われながら嫌になります。

 突然の連鎖反応の原因は? 春日で何が起きているのか! と、訝しんだのですが、わからないことはわからないままでいいじゃないか。「ええじゃないか、ええじゃないか、ええじゃないか、伊勢の名物、赤○餅はええじゃないか」(←中部地方限定のCMソング)を貫き通す俺流(という便利な言い訳)ですが、それで済ますわけにもいかず、現場に行ってきました。
「事件は会議室でおきているんじゃない。現場で〜」とそれは当たり前ですが、会議室殺人事件とかも起こるかもしれないなとつらつら思いつつ行ってみたら……なんということでしょう。確かにおか田はシャッターが降りていましたが、シャッターが降りていたはずの武田は、リニューアルして天○め(これは店名ではなく伏せ字)という新店舗に、豊しまは営業こそしていませんでしたが、中を覗くとステキな「元祖 厚切り 肉そば」の貼り紙も鮮やかに、割り箸も七味も爪楊枝もカウンターに並ぶ営業体勢なのです。幻立喰・ソの雰囲気は微塵も感じません。
 なんだか雲行きが怪しくなってまいりました。やはり現場に行かないとだめですね。行ったらよけいダメになりましたが……ちょくちょくこのあたりを徘徊しているAB君に電話をしたら、「豊○ま(突然伏せ字)は、不定期かつ不規則ではあるが、確かに営業している。おか田は再開発で中央区に移転すると貼り紙してあった」と、得意満面で(テレビ電話でもスカイプでもないので、表情はわかりませんが間違いなく)とんでもないことを言い出すではないですか。え〜、もっと早く言ってよ。聞いてないけど……10割増しのAB君ですから、無条件で信じるのはちょっと恐いのですが。雲行きが怪しいどころか、お先まっくらの立ちくらみになりました。


おか田

おか田
在りし日のおか田(2015年7月撮影)と現在の姿(2015年10月撮影)です。AB君が見たという貼り紙はすでになくなっていました。シャッターは降りていますが、幻立喰・ソじゃなくて、単なる休業日じゃない? と思ってしまう姿。移転再開を楽しみにしましょう。

豊しま

豊しま
営業中の豊○ま(2011年1月撮影)と閉まっていた豊○ま(2015年10月撮影)です。違いはのれんの有無くらいで、中を覗くと幻立喰・ソになったとは思えません。(2015年9月撮影)

 状況証拠と証言で、これはもう確定でしょう。幻立喰・ソ連鎖反応情報はAB君の必勝法のごとく完全な誤報でした(というか、そもそもどこから得た元ネタだったのか……それは永遠の謎です。ははは……冷や汗)。しかし、言い訳がましく追加させていただくと、豊○しまは再開発エリアに入っているようで、先行きはわかりません。
 幻立喰・ソが増えなくてよかったよかったということですが、まるで「ベトナムが共産化したら、まわりも連鎖反応で真っ赤っかになってしまいます」とベトナム戦争に突っ走り、泥沼化の挙げ句に撤退したアメリカのドミノ理論状態です。サイゴンが陥落してから早40年、真っ赤っかどころかベトナムもTPP交渉に参加しているんですから。何が起きても不思議じゃない。今後の世界経済の行く末を見守っていきましょう。と、大幅に理論のすり替えをして今回はこれまで。

●立喰・ソNEWS 2015
ついに出た! 立喰・ソ革命?

わたくしの愛して止まない日暮里のI由。リクエストでいろいろなメニューにチャレンジしたり、感謝祭では1週間もソ、ウを無料にしたり、あの手この手で楽しませてくれる24時間営業年中無休のスーパー立喰・ソです。最近TVで紹介され人気上昇中のゲソ寿司に続いての最新作はその名も「ゲソバーガー」です。大きめのバンズにどかっと腰を据えているのは、I由一番人気ゲソ天です。

こんなバーガー見たことない! 食べたことない。おつゆに浸して、紅ショウガとねぎ、レタスにちょいとマヨつけて。紅ショウガとねぎはゲソ天のお友達ですから相性が悪いわけがないのですが、レタスとマヨの立喰・ソに縁遠いコンビがゲソ天の隠れたポテンシャルを引き出しているのです。汁物が欲しくなりますが、おつゆシェイクはないので、小盛りそば(100円)とのセットがお勧めです。かなり満腹になりますが。激安価格のI由で400円と高額商品グループではありますが、レギュラー化が決まったわけではありません。あまたの消えていったリクエスト品同様、幻ゲソバーガーになってしまうかもしれません。ぜひ、お早めに。



ゲソバーガー
立喰・ソ界の革命児になるのか、異端で終わるのか。はたまた、本家ハンバーガーショップに進出するのか? お持ち帰りもできるようですし、話のタネにもなりますから、ぜひご賞味ください。

バソ
バ☆ソ
日本全国立ち喰いそば全店制覇を目論む立ち喰いそば人。現在800店以上のデータを収集したものの、ただ行って食べるだけで、たいして役に立たない。立ち喰いそば屋経営を目論むも、先立つものも腕も知識も人望もなく断念。で、立ち喰いそば屋を経営ではなく、立ち喰いそば屋そのものになろうとしたが「妖怪・立ち喰いそば屋人間」になってしまうので泣く泣く断念。世間的には3本くらいネジがたりない人と評価されている。一番の心配事はそばアレルギーになったらどうしよう……。


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